米ユタ州のReflect Scientificは10月13日、超低温機器のブランドCryometrixから、ブラスト凍結とプレート凍結を1台で行うフリーザー「PF-90」を発売したと発表しました。バイオ医薬品の原薬、ワクチン、血漿や血液製剤、細胞・遺伝子治療の材料を凍らせる用途に向けた装置で、同社は特許を出願中としています。価格は問い合わせ制です。液を入れたバッグが芯まで凍るのにかかる時間は公表していません。
ブラスト凍結とプレート凍結を1台で使い分け
凍結の装置には、大きく2つの方式があります。ブラスト凍結は高速の冷気を吹き付ける方式で、ボトルや形のそろわない容器を混ぜて入れられます。プレート凍結は、専用のバッグを冷却板に接触させ、板から直接熱を奪う方式です。袋を平らなまま、厚みの方向にそろえて凍らせられます。同社はリリースの中で、プレート凍結は熱の移動が速く、厚み方向の均一さが増し、氷の結晶もできにくいと説明しています。
同社によれば、これまで施設はどちらかの方式を選ぶ必要がありました。PF-90は両方を1台に収め、品目ごとに方式を選んで使います。同社は、設備費と設置面積、運用の手間を減らせるとしています。容量は、ザルトリウスの12 Lバッグ「Celsius FFTp」(または同等品)に10 Lずつ充填して、1回に最大8枚です。
冷やすのはコンプレッサーではなく液体窒素
冷却には、コンプレッサーも冷媒の循環も使わない独自の液体窒素方式を採りました。同社によれば、壊れやすい機械部品が減り、コンプレッサー式より消費電力が少なく、空調に逃がす熱も減ります。冷却系には20年の保証が付きます。そのぶん設置先には、液体窒素を所定の圧力で送る供給設備が要ります。
原薬を凍らせて保管する運用では、容器が大きいほど外側と中心で凍り方がずれ、凍結濃縮やpHのずれが場所ごとに変わります。バッグを薄く平らにして冷却板で冷やす方式は、この差を小さくするためのものです。一方で、複数の品目を扱う施設では、バッグとボトルが混在することもあります。6月にはSingle Use Supportが、ボトルを対象にしたブラスト凍結機「RoSS.BLST」を発表しており、原薬の凍結工程に向けた装置の提案が続いています。
性能の数字は、いずれも同社の公表値です。室温から-80℃まで約10分で下がるという値は、庫内が空の状態で測ったものです。荷を入れると熱容量も気流も変わるので、導入時には実際の積み方で温度分布を測り直すことが前提です。
PF-90の狙いは、バッグはプレートで、ボトルや形の違う容器は冷気で凍らせるという使い分けを、1台で済ませることです。液体窒素の供給設備をすでに持つ施設ほど、検討しやすい装置です。
※ 本ページは2026年10月13日のReflect Scientificの発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。