薬効・作用機序トピック 7/15

薬効モデル評価

in vitro生きた動物の体外で、試験管やシャーレなどを用いて細胞・組織・分子レベルで行う実験を指す用語。詳しく →・オルガノイド・動物モデルで薬効(作用機序薬が効果を発揮する仕組み。抗体医薬ではADCCやCDCなどが該当し、アッセイで裏づける。詳しく →に沿った効果)を示せるか

7モダリティを比較75装置・試薬の代表例

モダリティ別の進め方(7比較)

モダリティアプローチ(手法)読み出し・指標留意点
抗体(mAb)in vitro生きた動物の体外で、試験管やシャーレなどを用いて細胞・組織・分子レベルで行う実験を指す用語。詳しく →で結合・中和・ADCC抗体FcがNK細胞などのFcγRIIIaに結合し、そのエフェクター細胞に標的細胞を傷害させる作用。詳しく →/CDC/アゴニスト受容体に結合してそれを活性化し、生体反応を起こす作用をもつ分子。作動薬とも呼ばれる。詳しく →等の機能を確認し、in vivoは腫瘍ゼノグラフト(免疫不全マウス)やsyngeneic免疫のあるマウスに同系統由来の腫瘍を移植し、免疫を介した作用を評価するモデル。/同系モデルで評価します。ヒト標的にしか結合しない場合は、ヒト標的ノックインゲノムの狙った座位に目的の遺伝子を組み込むこと。挿入位置を制御でき挿入変異リスクを抑える。詳しく →/トランスジェニックマウスや、齧歯類標的に対するサロゲート抗体を用います。免疫チェックポイント等は免疫系込みのsyngeneic系が必要になります。標的占有薬が狙った標的に実際どれだけ結合しているかの度合い。標的占有とも呼ばれる。・中和活性・ADCC抗体FcがNK細胞などのFcγRIIIaに結合し、そのエフェクター細胞に標的細胞を傷害させる作用。詳しく →/CDC、腫瘍増殖抑制(TGI)・生存、薬効とPK/標的占有の関係種交差反応ある抗原に対して生じた抗体が、構造の類似した別の抗原にも結合・反応する現象。詳しく →性の有無で使えるモデルが決まります。ヒト化・トランスジェニック系はヒト生物学を完全には再現しません
ADC抗体と同様に標的発現腫瘍のゼノグラフトが中心ですが、抗原発現量の異なる細胞株パネルやペイロード感受性、バイスタンダー効果も評価します。リンカー・ペイロードの安定性や切断は種依存性があり、標的非依存の取り込みも確認します。抗原発現量依存の細胞毒性・IC50、TGI・生存、ペイロード放出とバイスタンダー活性オフターゲット毒性・ペイロード寄与の評価が薬効解釈に欠かせません。抗原発現の不均一性の影響にも注意が要ります
mRNA-LNPin vitro生きた動物の体外で、試験管やシャーレなどを用いて細胞・組織・分子レベルで行う実験を指す用語。詳しく →で発現量・機能(コードするタンパク質の活性)を確認し、in vivoは投与経路(筋注・静注等)ごとの発現分布・持続と機能効果を評価します。ワクチン用途では免疫原性薬そのものが患者の免疫応答を誘発しやすい性質。凝集体や不純物、投与経路、患者背景などが要因になる。詳しく →(抗体価・T細胞応答)を見ます。自然免疫応答(センサー活性化)に種差があり、ヒトとげっ歯類で反応が異なりうる点に留意します。標的組織でのタンパク発現量・持続、機能的薬効、(ワクチンでは)抗体価・中和・T細胞応答LNPmRNAなどを包んで細胞へ届ける脂質の微粒子。全身投与では肝細胞に取り込まれやすい。の生体内分布投与した薬が体内のどこにどれだけ届き、どれだけ留まるかを測る評価のこと。詳しく →・自然免疫応答に種差があります。非ヒト霊長類サルなど、ヒトに生理が近く標的交差を得やすい実験動物。費用・福祉の制約が大きい。詳しく →での確認が必要になる場合があります
AAV(遺伝子治療)in vitro生きた動物の体外で、試験管やシャーレなどを用いて細胞・組織・分子レベルで行う実験を指す用語。詳しく →で導入・発現を確認し、in vivoは対象組織への指向性(トロピズムウイルスベクターが特定の組織・細胞に向かう指向性。AAVでは血清型ごとに異なる。詳しく →)と導入効率、導入遺伝子ベクターで細胞に運んで働かせる目的の遺伝子。詳しく →の機能を評価します。血清型のトロピズムや受容体利用に種差があり、疾患モデル(ノックアウト遺伝子を機能破壊する編集。切断後のNHEJで生じるインデルが読み枠をずらして機能を失わせる。詳しく →/変異動物、必要に応じ大型動物)で機能回復を見ます。プロモーターRNAポリメラーゼが結合して転写を開始するDNA上の特定の塩基配列領域。詳しく →の種間差にも注意します。ベクターゲノムコピー数・導入遺伝子ベクターで細胞に運んで働かせる目的の遺伝子。詳しく →発現、標的組織での機能回復(表現型是正)、発現持続血清型のトロピズム・既存中和抗体・プロモーター活性に種差があります。単回投与が前提となりやすく、げっ歯類の結果が霊長類・ヒトに外挿しにくいことがあります
siRNA・ASO(核酸)配列がヒト標的に特異的なため、種を越えて配列一致する(クロスリアクティブな)分子を用いるか、げっ歯類標的に一致するサロゲート配列を設計してin vivo薬効(標的mRNA/タンパクのノックダウン)を確認します。GalNAc等の肝指向性送達ゲノム編集ツールや核酸医薬などを標的細胞・組織まで安全かつ効率よく運ぶための技術・方法論の総称。詳しく →はアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)肝細胞表面に多く発現する受容体。GalNAcが結合し、核酸を肝細胞へ取り込ませる入口になる。詳しく →等の取り込み受容体の発現組織に依存します。標的mRNA/タンパクのノックダウン率・持続、下流の機能・バイオマーカー変化ヒト特異的配列は動物で薬効が出ないため、サロゲート/交差反応ある抗原に対して生じた抗体が、構造の類似した別の抗原にも結合・反応する現象。詳しく →配列の設計が前提です。ハイブリダイゼーション相補的な塩基配列を持つ核酸鎖同士が水素結合して二重鎖を形成する反応。詳しく →依存のオフターゲットにも留意します
細胞治療(CAR-T・iPS)in vitro生きた動物の体外で、試験管やシャーレなどを用いて細胞・組織・分子レベルで行う実験を指す用語。詳しく →で抗原特異的な細胞傷害・サイトカイン産生・増殖を確認し、in vivoはヒト腫瘍を移植した重度免疫不全マウス(NSG等)にヒトCAR-T患者や健常ドナーのT細胞にCAR(キメラ抗原受容体)を導入し、がん細胞を攻撃させる細胞治療。詳しく →細胞を投与するxenograft系で評価します。ヒト免疫系再構築(ヒト化)マウスを用いる場合もあります。同種異系や自家の設定、標的抗原のヒト特異性で系が制約されます。抗原特異的細胞傷害・サイトカイン、in vivoでの腫瘍制御・生存、投与細胞の生着・persistence投与したベクターや細胞が体内にどれだけ長く残り続けるか。分布・sheddingと一体で評価する。・増殖免疫不全マウスはヒト免疫系全体を再現せず、CRSなど毒性・持続性の予測に限界があります
低分子疾患モデル動物へ経口・静注で投与し、薬効と同時に血漿・組織中の曝露量を必ず取ります。用量―曝露―薬効(PK/PD)を結び、有効な曝露域を決めます腫瘍増殖抑制率(TGI)・症状スコア等の薬効指標、ED50、有効時の血漿中濃度、標的占有薬が狙った標的に実際どれだけ結合しているかの度合い。標的占有とも呼ばれる。率薬効が出ないとき、曝露不足なのか薬理が足りないのかを切り分けられないと開発判断を誤ります。動物とヒトの代謝差にも注意が要ります

共通の考え方まずin vitro(標的細胞・レポーター・機能アッセイ)で作用機序を確認し、次にin vivoで有効性を評価するという段階的な流れは共通です。ヒト標的に特異的な製剤では、ヒト標的をもつ系(ヒト化/トランスジェニック動物、ヒト細胞、あるいは種交差反応するサロゲート分子)を用意できるかが設計上の要になります。

このトピックで使う装置・試薬75件

装置・試薬はモダリティをまたいで共通のものが多く、同じ名前が何度も出てきます。

抗体14件
装置・機器7
試薬・キット7
  • ADCCレポーターバイオアッセイキットPromega ADCC Reporter Bioassay Complete/Core Kit(FcγRIIIa V/F変異)
  • ADCP/CDC機能アッセイ(レポーター・細胞傷害リードアウト)Promega FcγRIIa-H ADCP Reporter Bioassay、Promega CytoTox-Glo/LDH-Glo(CDC殺傷測定)
  • 細胞生存・傷害アッセイ試薬Promega CellTiter-Glo、Promega CytoTox-Glo、Thermo Fisher calcein-AM
  • アゴニスト活性レポーター細胞Promega GloResponse NFAT/NF-κB-luc2 Jurkat、InvivoGen HEK-Blue レポーター細胞
  • SPR/BLIセンサーチップ・バイオセンサーCytiva Series S Sensor Chip CM5/Protein A、Sartorius Octet SA/Anti-hIgG Fc(AHC)バイオセンサー
  • 腫瘍ゼノグラフト用免疫不全マウスThe Jackson Laboratory NSG、Charles River Nude(Foxn1nu)、Taconic NOG
  • ヒト標的ノックイン/トランスジェニックマウス・サロゲート抗体GenOway/Cyagen カスタムノックインマウス、Taconic ヒト化標的モデル
ADC12件
装置・機器7
試薬・キット5
  • 細胞傷害・生存アッセイ試薬Promega CellTiter-Glo、Promega CytoTox-Glo、Promega LDH-Glo
  • 抗原発現量定量ビーズ(受容体数)Bangs Laboratories Quantum Simply Cellular、BD Quantibrite PE
  • 標的抗原発現腫瘍細胞株パネルATCC SK-BR-3/NCI-N87(HER2)、ATCC MDA-MB-468
  • 内在化・エンドソーム標識試薬Sartorius Incucyte pHrodo/Fabfluor-pH、Thermo Fisher LysoTracker
  • 標的抗原発現腫瘍ゼノグラフト用免疫不全マウスThe Jackson Laboratory NSG、Charles River Nude(Foxn1nu)
mRNA-LNP11件
装置・機器6
試薬・キット5
AAV10件
装置・機器6
試薬・キット4
  • ddPCR/qPCR定量試薬・プローブBio-Rad ddPCR Supermix for Probes、Thermo Fisher TaqMan Assays
  • レポーター遺伝子検出(発光基質)Promega ONE-Glo、Revvity XenoLight D-Luciferin
  • in situ発現検出プローブACD RNAscope Probe、抗GFP抗体(Thermo Fisher/Abcam)
  • 疾患モデル動物(ノックアウト/変異・大型動物)The Jackson Laboratory ノックアウトマウス、GenOway カスタム変異モデル
核酸11件
装置・機器6
試薬・キット5
  • RNA抽出・逆転写・qPCR試薬Qiagen RNeasy、Thermo Fisher TaqMan Gene Expression Assays
  • 分岐DNA(bDNA)定量キットThermo Fisher QuantiGene Singleplex/Plex Assay
  • 標的タンパク定量ELISA/多重キットMeso Scale Discovery U-PLEX/V-PLEX、R&D Systems(Bio-Techne)DuoSet ELISA
  • GalNAcコンジュゲート/取り込み受容体解析用試薬抗ASGPR1抗体(Thermo Fisher/Abcam)
  • げっ歯類標的一致サロゲート配列・疾患モデル動物The Jackson Laboratory 疾患モデルマウス、カスタム合成オリゴ(IDT/GenePharma)
細胞治療11件
装置・機器6
試薬・キット5
  • 細胞傷害アッセイ試薬(発光・LDH)Promega CytoTox-Glo、Promega LDH-Glo、CellTiter-Glo
  • 細胞標識・増殖トラッキング色素Thermo Fisher CellTrace CFSE/Violet、calcein-AM
  • サイトカイン多重・ELISAキットMeso Scale Discovery V-PLEX Proinflammatory Panel、Mabtech IFN-γ ELISpot
  • ヒト腫瘍移植用重度免疫不全マウスThe Jackson Laboratory NSG/NSG-SGM3、Taconic NOG
  • ヒト免疫系再構築(ヒト化)マウス・CD34+ HSCThe Jackson Laboratory huNSG(hu-CD34)、Taconic huNOG
低分子6件
装置・機器3
試薬・キット3
  • 経口投与用ビヒクル・可溶化剤メチルセルロース、BASF Kolliphor、Ligand Captisol(SBE-β-CD)
  • 定量用の安定同位体標識内標準Toronto Research Chemicals、Alsachim
  • 疾患モデル動物・細胞株Charles River、The Jackson Laboratory、ATCC
規制・注意薬効モデルの妥当性は、後続の毒性・安全性評価に使う動物種の選択とも地続きです。バイオ医薬品では、薬理と毒性の両面で薬理学的に関連する(relevantな)種を用います。オルガノイド・PDX・ヒト化モデルはヒト生物学へ一歩近づきますが、ヒトへの外挿には限界が残ります。複数のモデルを組み合わせ、機序に立って解釈します。

一次資料ICH S6(R1)(バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床安全性評価)、ICH S9(抗悪性腫瘍薬の非臨床評価)。

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