共通基礎知識・選び方

1/4インチのチューブに、1.5インチのトリクランプが付くのはなぜ?

1/4インチのチューブの先に、なぜ1.5インチの継手が付いているのか。シングルユース使い捨ての樹脂製バッグや容器を用いる製造方式です。洗浄・滅菌の手間を減らせる一方、ステンレス設備と比べて特徴が異なり、目的に応じて選び分けます。詳しく →のアッセンブリーの図面では、1本のラインに「1/4"×3/8"」と「1.5" TC」が並んで書かれていることがあります。数字だけを見れば6倍の差です。初めて図面を受け取った人が、どこかで書き間違えたのではないかと疑うのも無理はありません。

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1/4インチのチューブに、1.5インチのトリクランプが付くのはなぜ?

答えは、3つの数字が別々の場所を測っていることにあります。1/4インチはチューブの内径(ID)、3/8インチは外径(OD)です。1.5インチはトリクランプ(TC、ヘルール継手とも呼びます)の呼びで、つなぐ相手のステンレス管の外径を指しています。同じ「インチ」でも、比べてよいのは同じ場所を測った数字どうしだけです。

この食い違いは、発注の場面で効いてきます。インチの数字だけで部品をそろえると、継手は付いても流路やガスケットが合わないことがあります。日本の配管で使う「分(ぶ)」という呼び方は、業界によって指す場所がさらに変わります。

この記事の要点
  • チューブの「1/4"×3/8"」は内径×外径を、トリクランプの「1.5インチ」は相手のステンレス管の外径を指します。同じインチでも測っている場所が違います。
  • 1インチと1.5インチのトリクランプはフランジもクランプも共通ですが、ガスケットは管の外径で選ぶため穴径が違います。
  • 「分」は冷媒の銅管では外径を、水道の鋼管では呼び径を指します。発注書には内径×外径を数字で書きます。

工程のどこで使うか ― ステンレス設備とシングルユースの境目

1.5インチのトリクランプが付いたラインの出番は、ステンレス設備とシングルユースの部品が出会う境目です。

ステンレスのタンクや配管の接続口には、トリクランプがよく使われます。フランジどうしを突き合わせ、ガスケットを挟んでクランプで締める継手です。そこへ使い捨てのバッグやチューブをつなぐには、シングルユース側の端にも同じ規格のトリクランプが要ります。Sartorius は大型の3Dバッグ立体形状で大容量の液体を扱える使い捨てバッグです。ドラムやタンクなどの支持容器に収めて使い、培地やバッファーの保存・輸送に用います。詳しく →の製品説明で、1.5インチのトリクランプのフランジを「サニタリー接続、または ISO 5 の層流の下でステンレス設備へ無菌的に接続するため」の端末と書いています。ISO 5 の清浄度はクリーンルームと清浄度クラスで解説しています。

チューブの太さと継手の呼びは、別々に決まります。Sartorius は、トリクランプとチューブを組んだ変換ライン(Gender or Connector Change Lines)を扱っています。品番 FBT129886 は、1-1/2インチのトリクランプに内径1/2インチ×外径3/4インチ(12.7×19.1 mm)のチューブを3,000 mm付けた構成です。同じ系列には、1/4"×3/8" のチューブと組んだ構成もあります。

図1:1本のアッセンブリーに並ぶ3つのインチ表記。左のステンレス設備のポートは1.5インチのトリクランプで、1.5インチはステンレス管の外径38.1 mmを指し、管の内径は約34.8 mm。直径50.5 mmのフランジどうしをガスケットを挟んでクランプで締める。シングルユース側は、片側に50.5 mmのフランジ、反対側に1/4インチのホースバーブを持つ樹脂のアダプターで、そこに内径1/4インチ(6.35 mm)、外径3/8インチ(9.525 mm)、肉厚約1.6 mmのチューブが付く。下段は、1/4インチを「分」で呼ぶと2分にあたるが、冷媒の銅管の2分は外径6.35 mmを、水道の鋼管の分は呼び径を指すことを示す。径は同じ縮尺で描いた概念図
図1:1本のアッセンブリーに並ぶ3つのインチ表記

図は概念図で、径は同じ縮尺、アダプターの形は一例です。実際の配置は工程設計で変わります。ステンレスとシングルユースをどこで切り替えるかは、シングルユースとステンレス設備の選び方が扱っています。

トリクランプの呼びを決めるのはチューブではなく、つなぐ相手のステンレス設備のポートです。

何のための部品か ― 3つのインチが測っている場所

3つのインチは、それぞれ別の部品の寸法です。大小を比べても意味がありません。

まずチューブです。シングルユースのチューブは、メーカーが内径×外径の順にインチで書きます。1/4"×3/8" なら内径6.35 mm、外径9.525 mmで、肉厚は1/16インチ(約1.6 mm)です。チューブを差し込むホースバーブ(タケノコ継手)の呼びも、チューブの内径に合わせてあります。

次にトリクランプです。ステンレス管の端には、ヘルールと呼ぶフランジ付きの部品を溶接します。バイオプロセス設備の米国規格 ASME BPE では、このヘルールの呼びインチが管の外径を表します。1.5インチのヘルールは外径38.1 mm、肉厚1.65 mmの管に付き、管の内径は約34.8 mmです。1.5インチのトリクランプの内径は、1.5インチではありません。

シングルユース側で両者をつなぐのは、片側に50.5 mmのフランジ、反対側に1/4インチのバーブを持つ樹脂のアダプターです。端の部品でいちばん大きい寸法は約50 mmに達しますが、液が通る太さは反対側のバーブとチューブで決まります。

1.5インチの継手を付けても、流れる太さは1/4インチのチューブのままです。

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種類と違い ― フランジを共有するサイズとガスケット

トリクランプには、呼びが違うのに同じフランジを使う組があります。

1インチと1.5インチのヘルールは、どちらもフランジの外径が50.5 mmです。1/2インチと3/4インチも、約25 mmの同じフランジを共有します。2インチになると64.0 mmに上がります。クランプはフランジの外周に掛けるので、1インチ用と1.5インチ用は同じクランプで締まります。販売店でも、1インチ・1.5インチ兼用として売られています。シングルユース側の1.5インチのフランジも、1インチのポートに掛かります。

図2:トリクランプのフランジを共有するサイズ。1/2インチ管(外径12.7 mm)と3/4インチ管(外径19.05 mm)は直径約25 mmのフランジ、1インチ管(外径25.4 mm、内径約22.1 mm)と1.5インチ管(外径38.1 mm、内径約34.8 mm)は直径50.5 mmのフランジ、2インチ管(外径50.8 mm、内径約47.5 mm)は直径64.0 mmのフランジを使う。クランプはフランジの外径で掛かり、ガスケットは管の外径で選ぶため、1インチ用と1.5インチ用のガスケットは外形が同じ50.5 mmでも穴径が違う
図2:トリクランプのフランジを共有するサイズ

ガスケットは事情が違います。フランジではなく管の外径(呼び)で選ぶので、同じ50.5 mmのフランジでも、1インチ用と1.5インチ用では穴径が違います。1インチのポートにつなぐなら、ガスケットは1インチ用です。外形は同じなので、取り違えてもクランプは締まってしまいます。材質は EPDM とシリコーン(VMQ)が一般的で、ほかに FKM(Viton)や PTFE があります。使う温度と、CIP(定置洗浄)装置を分解せず、据え付けた状態のまま内部の配管や容器を自動で洗浄する方式。詳しく →の薬液との相性で選びます。

規格にも気を配ります。クランプ継手には ASME BPE のほか DIN 32676 や ISO 2852 があり、重なる部分はあっても同一ではありません。50.5 mmのフランジは複数の規格に現れるので、クランプは掛かります。それでも管の内径とガスケットの穴径は、規格によって違うことがあります。

クランプが掛かっても、ガスケットの穴径と管の内径がそろっているとは限りません。

選ぶときの判断軸 ― 相手のポート、内径、外径

サイズを決める順番は、相手が先で、チューブが後です。

トリクランプの呼びと規格は、つなぐ相手のポートで決まります。チューブの内径は、流したい量と、チューブの中に残る液の量(保持量、ホールドアップろ過後もフィルターや配管に残る液量。高濃度では残液がそのまま高価な原薬の損失になる。詳しく →容量)で決めます。保持量は内径の2乗で増えるので、内径が2倍になると4倍に跳ね上がります。

チューブの内径mm換算1 mあたりの保持量3 mあたりの保持量
1/8インチ3.175 mm7.9 mL23.8 mL
1/4インチ6.35 mm31.7 mL95.0 mL
3/8インチ9.525 mm71.3 mL213.8 mL
1/2インチ12.70 mm126.7 mL380.0 mL
3/4インチ19.05 mm285.0 mL855.1 mL
1インチ25.4 mm506.7 mL1,520 mL

内径1/4インチのチューブは1 mあたり約32 mL、3 mで約95 mLの液を抱えます。先の FBT129886 のように内径1/2インチのチューブが3 m付いていれば、約380 mLです。高価な液や少量のバッチでは、押し出さなければ、この量がそのまま回収できない液として残ります。細くしすぎると、今度は流れにくくなります。層流なら、内径を1/4インチから3/8インチに上げるだけで、同じ流量での圧力損失はおよそ1/5に下がります。

外径と肉厚は、チューブの外側に触れる機器で決まります。同じ内径1/4インチでも、Sartorius の Tuflux TPE には外径3/8インチ(肉厚約1.6 mm)と7/16インチ(約2.4 mm)の両方があります。Heidolph の SP 標準ポンプヘッドは、肉厚1.6 mmのチューブ用です。溶着機の Sartorius Biowelder TC は、外径1/4〜1インチの TPE チューブが対象です。ただし内径1/8×外径1/4インチのチューブは外れます。ピンチクランプは書き方そのものが割れています。Qosina は外径1.5〜19 mm、Repligen の ProConnex Pinch Clamp は内径3/16〜1-1/8インチで対象を示します。

継手は相手のポートで、内径は流量と保持量で、外径はポンプや溶着機の対応範囲で決めます。

よくある失敗・見落とし ― 「分」と単位の混在

日本の現場では、インチの上にもう1つ呼び方が重なります。「分(ぶ)」です。

1分は1/8インチで、2分が1/4インチ、3分が3/8インチ、4分が1/2インチにあたります。厄介なのは、分が何を測った寸法かが業界で違うことです。空調の冷媒配管に使う銅管では、分は実際の外径を指し、2分は6.35 mm、3分は9.52 mm、4分は12.7 mmです。水道やガスの鋼管では、分は呼び径(ねじの呼び)です。4分は15A(1/2B)にあたり、配管用炭素鋼鋼管(SGP)の外径は21.7 mmあります。

同じ「4分」が、外径12.7 mmの銅管にも、外径21.7 mmの鋼管にも使われます。シングルユースの1/2"×3/4" のチューブは、内径が12.7 mmで外径は19.1 mmです。「2分」とだけ書いた注文は、内径6.35 mmのチューブとも、外径6.35 mmのチューブとも読めてしまいます。

単位の混在も同じ種類の見落としを生みます。Sartorius は3/8インチを9.6 mmと丸めて書きますが、正確には9.525 mmです。図面の中で mm とインチが混ざると、同じ寸法が別の寸法に見えます。内径だけを書いた注文も、外径の違う品が届く余地を残します。

「分」で話が通じているように見えても、発注書には内径×外径を数字で書きます。

発注前にサイズを確かめるチェックリスト

メーカーに聞くべきは「何インチか」ではなく、「その数字は内径、外径、呼び径のどれか」です。仕様確認や見積依頼では、相手側のポートを先に決め、チューブ、ガスケット、単位の順に、端ごとに次の項目をそろえて伝えます。

  • 各端の接続方式と呼び(トリクランプなら呼びと規格 ASME BPE/DIN 32676/ISO 2852、ホースバーブなら対応内径、無菌コネクター無菌状態を保ったまま2本のチューブや流路をつなげる接続部品です。開放せずに滅菌済みの液経路を接続でき、外部からの汚染リスクを抑えます。詳しく →なら系列と、オス・メス型かジェンダーレスか)
  • 相手側の端末(ステンレス設備のポート、別のアッセンブリー)の方式と呼び
  • チューブの内径×外径(肉厚)、材質(シリコーンか TPE か)、長さ
  • ライン1本あたりの保持量の上限と、使用圧
  • ガスケットの呼び(管の外径)と材質(EPDM、シリコーン、FKM、PTFE など)
  • 図面の単位(インチか mm か)と、換算値の丸め方
  • ポンプヘッド、溶着機、ピンチクランプの対応範囲が、内径と外径のどちらで書かれているか
  • 「分」で書かれた寸法の意味(内径、外径、呼び径のどれか)を供給元と確かめた記録

サイズを書き込んだ構成図があると、取り違えに気づきやすくなります。アッセンブリー依頼図ツールでは、チューブごとに内径・外径・長さを入れると、構成一覧と部品表にそのまま並びます。

メーカー・製品 ― 端末の呼びと製品ページ

ルアーやホースバーブを含めた部品の全体像は、シングルユースアッセンブリーの構成部品の記事にまとめています。製品データベースでは、シングルユース・アッセンブリー、シングルユース流路、無菌コネクターの各ページで製品を横断できます。

一部の無菌コネクターは、サニタリーの端末をトリクランプの呼びで持っています。CPC細胞培養加工施設。清浄度区分や空調・差圧・動線・環境モニタリングを備え、再生医療等製品を製造する施設。詳しく → の AseptiQuik G は、ホースバーブ1/8〜1インチの6サイズに加えて、3/4インチと1-1/2インチのサニタリー端末を持ちます。1-1/2インチ品は大流量・大口径向けに開発されました。Pall が発売し、現在は Cytiva のブランドである Kleenpak Presto には、1/2インチのサニタリー端末があります。コネクターと溶着の使い分けは無菌コネクターと溶着機の使い分けで、ポンプ区間の考え方は送液ポンプの選び方で解説しています。

あなたの職場では、「2分チューブ」は内径と外径のどちらを指していますか。ProgLoop で、ほかの現場の呼び方も聞いてみてください。

参考文献

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、共通に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。