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無菌でつなぐ・切り離すのはどこで要る?開放操作と閉鎖系の線引き

培地バッグをつなぐ、サンプルを抜く、収穫液をバッグへ移す、分注する。工程図の上でこの4つに印を付けると、液が外の空気に触れうる場所は、想定より多く見つかります。そこをどう扱うかで、安全キャビネット気流を制御して作業者・検体・環境を汚染や曝露から守りながら、細胞や微生物を扱う作業台です。詳しく →で開けるのか、アイソレーターに入れるのか、コネクターで閉じるのかが分かれます。部屋のグレードも更衣も環境モニタリング無菌製造区域の空気・表面・作業者を微粒子や微生物で継続監視し、汚染管理の状態を記録する活動。詳しく →も、その選択で変わります。

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無菌でつなぐ・切り離すのはどこで要る?開放操作と閉鎖系の線引き

EU GMP Annex 1(2022年改訂)は、無菌接続をグレードAで行い、背景をグレードBに置くのを原則とします(8.14)。例外は、つないだあとにその場で滅菌する場合と、接続の過程で汚染のリスクを減らす接続装置(intrinsic sterile connectionチューブや容器を無菌状態を保ちながら接続する操作で、専用の溶着装置などを用いて行う。詳しく → device、ISCD)でつなぐ場合です。閉鎖系とシングルユースシステム(single-use使い捨ての樹脂製バッグや容器を用いる製造方式です。洗浄・滅菌の手間を減らせる一方、ステンレス設備と比べて特徴が異なり、目的に応じて選び分けます。詳しく → system、SUS)には、独立した項(8.127〜8.130、8.131〜8.139)もあります。それでも部屋のグレードを決めるのは、「閉鎖系外気と触れずに培地交換やサンプリングを行う閉鎖された流路。無菌を保ち汚染を防ぐ。詳しく →」という名前ではありません。決め手は2点で、液が外気に触れる瞬間があるかと、閉じていることを毎回示せるかです。

オペレーター、監督者、細胞治療生きた細胞そのものを有効成分とする医薬。CAR-Tなどが代表。詳しく →の立ち上げ担当、品質保証、接続部材を提案する営業にとって、この線引きは仕様確認の前提です。

開放操作の数え方 ― 液が外気に触れる4つの場面

閉鎖系かどうかは、液が外気に触れる場所を数えて決まります。

Annex 1 の用語集は、閉鎖系を、製品が周囲の環境にさらされない系と定義します。例は、バッグやタンクをチューブでつなぎ、無菌製品用なら接続後に系全体を滅菌したものです。閉鎖系は、作業が終わるまで開けません。RABS(restricted access barrier system、扉とグローブ口のある囲い)は、この Annex でいう閉鎖系に含みません。アイソレーター外気と隔てた無菌の作業空間をつくり、その中で無菌操作を行う装置です。RABSも作業域を囲うバリアの一種です。詳しく →(グローブ越しに作業する隔離空間)も同じです。

工程順の典型は4つです。培地やバッファーの投入は、バッグの口を開けるか、別のバッグにつなぎ替えます。サンプリングは培養のあいだ繰り返すので、開く回数が増えやすい場所です。ハーベスト培養液から細胞や破片を取り除いて目的物質を含む上清を回収し、後工程に渡せる清澄な液にする工程です。詳しく →は、培養液を回収のバッグやろ過の流路へつなぎます。分注は、液が最終容器に入る直前です。

同じ「開ける」でも、置かれた位置で求められる環境は違います。表4(8.10)は、ろ過する溶液の調製(サンプリングと分注を含む)をグレードCの例に挙げます。最終の除菌ろ過フィルター0.2µm前後の細かい孔で液を通し、細菌などの微生物を捕らえて無菌のろ液を得るための除菌用フィルターです。詳しく →より後ろで、滅菌済みの接触面が露出する接続は、グレードA充填点周辺など無菌操作の中心となる最高清浄度区域。作業中も連続監視される。詳しく →の例です。この接続は、できるかぎり SIP(steam-in-place、蒸気による定置滅菌)で滅菌するよう求められます。細胞のように除菌ろ過細菌を止めることを実証したフィルターに液を通し、無菌のろ液を得る工程です。除菌ろ過・ろ過滅菌とも呼び、菌の数を下げるだけのバイオバーデン低減ろ過とは区別します。0.22µm前後の膜が広く使われます。詳しく →できない製品では、ろ過の前という区分が成り立たず、開放操作は最初から無菌操作外部から微生物を入れずに工程を進める操作。最終滅菌できない細胞治療では全工程で無菌性を維持する。詳しく →として扱います。

上段に、液が外気に触れる開放操作の4つの場面が工程順に並ぶ。培地の投入、サンプリング、ハーベスト、分注。そこから場面ごとに2つの扱いに分かれる。左は開けてつなぐ場合で、液が露出する場所はグレードA(安全キャビネット、アイソレーター)。背景は安全キャビネットならグレードB(8.14の原則)、アイソレーターなら開放型が最低グレードC、閉鎖型が最低グレードD(4.20)。右は閉じたままつなぐ場合で、接続の過程で汚染のリスクを減らす接続装置(ISCD)として無菌コネクターやチューブ溶着を使う。8.14ではグレードAと背景Bの原則の例外で、表4は閉じて滅菌したシングルユースシステムをISCDで組み立てる作業をグレードDの例に挙げる。ただし条件つき。その下に、切り離す場所としてチューブシーラーとディスコネクターがあり、選ぶ軸はチューブの材質と再接続の有無。最下段に、閉鎖系という名前だけでは部屋のグレードは下げられず、使うたびに完全性を示せれば低い区域も使えるが、下げてよい等級の数字は条文にないという条件(8.130)を示す。
開放操作の4つの場面と、開けてつなぐ場合・閉じたままつなぐ場合の分かれ道の概念図

液が外気に触れる場所を工程順に数えることが、どこを閉じるかを決める出発点です。

開けてつなぐ場合 ― 安全キャビネットとアイソレーターの背景

開けてつなぐなら、液が露出する場所はグレードAです。変わるのは、その外側の部屋です。

Annex 1無菌医薬品の製造に関するEU GMPの付属書。汚染管理戦略などを求める無菌製造の基準。詳しく → の 4.4 は、グレードAの例に、ファーストエア(first air、フィルターを出て最初に対象へ当たる空気)の保護の下で無菌接続を行う場所を挙げます。安全キャビネット(気流で作業者と製品を守る囲い)の内側でグレードAの条件が成り立つなら、背景の部屋はグレードBです(8.14)。FDA のガイダンスの付録3も、早い工程から無菌で処理する製品について、同じ線を引きます。製品が露出する手順(例は無菌接続)は、一方向流の下の ISO 5 で行い、周囲は Class 10,000(ISO 7)かそれ以上とします。

アイソレーターなら、背景が下がります。8.14 はアイソレーターを使うときの背景を 4.20 に従わせ、4.20 は開放型を最低グレードC、閉鎖型を最低グレードDとします。決定はリスク評価工程や製品に潜在するリスクの種類・発生可能性・影響度を系統的に特定・分析し、優先的に管理すべき項目を決定する手続き。詳しく →で行い、根拠を書くよう求めます。RABS は最低グレードBです。

背景が一段違うと、人の負担が変わります。グレードBでグレードAに手を入れる人は、滅菌済みの衣服、フード、マスク、ゴーグル、靴カバーを着け、手袋は二重にします(7.13)。入室のたびに着替えます(7.15)。空気中の菌のアクションリミット(超えると調査に入る値)も、表6でグレードBが 10 CFU培養した際に1つのコロニー(集落)を形成する微生物の単位で、生菌数を表す際に用いられる。詳しく →/m³、Cが 100 CFU/m³、Dが 200 CFU/m³と違います。AとBの作業者は、手袋や衣服の菌も測定の対象です(9.25、9.26)。測り方は落下菌とエアサンプラーの使い分けで解説しています。

開けてつなぐ限り、接続のたびにグレードAの作業領域が要り、背景の部屋の更衣と監視の重さが付いてきます。

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閉じたままつなぐ場合 ― 接続装置で変わる範囲

閉じたままつなぐ手段が、Annex 1 でいう ISCD です。

用語集は、接続の過程で汚染のリスクを減らす装置とし、機械式と融着式を挙げます。用語集に製品名はありませんが、市販品でいえば、機械式の例は、CPC の AseptiQuik、Cytiva の ReadyMate、Merck の Lynx、Sartorius の Opta SFT といった無菌コネクター無菌状態を保ったまま2本のチューブや流路をつなげる接続部品です。開放せずに滅菌済みの液経路を接続でき、外部からの汚染リスクを抑えます。詳しく →です。融着式の例は、Sartorius の Biowelder TC や Terumo BCT の TSCD シリーズのようなチューブ溶着機です。どちらを選ぶかは無菌コネクターと溶着機の選び方で解説しています。

8.14 は、ISCD でつなぐ接続を、グレードAと背景グレードBの原則の例外に置きます。表4は、閉じて滅菌した SUS を ISCD で組み立てる作業を、グレードDの例に挙げます。グレードDの更衣は、髪を覆い、一般の防護服と消毒した靴を着けるものです(7.13)。グレードBの滅菌済みの衣服より、はるかに軽く済みます。

接続の数を減らす道もあります。8.15 は、無菌操作を、事前に組み立てて滅菌した機器のような設計で最小にするよう求めます。FDA のガイダンスも、事前に組み立てた接続を SIPタンクや配管を分解せず設置したまま洗浄(CIP)し、蒸気などで滅菌(SIP)する仕組みです。詳しく → で滅菌すれば、重要な無菌操作を1つ消せると書いています。

ISCD で減らせるのは接続の瞬間に環境へ頼る度合いで、接続が毎回完全であることの証明は、別に用意します。

低いグレードにできる条件 ― 8.130 の読み方

「閉鎖系なら部屋のグレードを下げられる」という読み方は、順番が逆です。

8.130 は、閉鎖系を置く背景を、系の設計と工程に基づいて決めるとします。無菌プロセスで完全性が損なわれうるなら、系はグレードAに置きます。使うたびに完全性が保たれると示せれば(例は圧力試験や監視)、より低い区域を使えますが、どのグレードまで下げてよいかは、条文に数字がありません。閉鎖系を保守などで開けるときは、無菌プロセスならグレードAで行うか、追加の洗浄と消毒に加えて滅菌が要ります。

POINT
「閉鎖系です」というメーカーの説明だけで、背景のグレードを下げる計画は立てません。毎回の完全性を示す資料が先です。

示し方にも条文があります。8.129 は、無菌接続の部品の完全性をどう確保するかを、汚染管理戦略人・設備・原材料・環境など汚染の全経路を一枚に束ね、抑え込みの有効性を継続評価する設計図。詳しく →(contamination control strategy、CCS)に記載するよう求めます。仕入先の評価には、無菌が失われる故障モードのデータを集めます。8.137 は、凍結や融解のような厳しい条件にさらされる SUS で、ISCD(熱で封じたものも機械式も)が完全性を保つことの確認を求めます。8.139 は、SUS の組立や接続のような重要な手作業を、培地充填製品液の代わりに培地を充填ラインに流し、実工程を模擬して無菌操作に汚染が入らないことを実証する試験。詳しく →(aseptic process simulation、APS)で検証するよう求めます。

メーカーの資料は、装置の性能の説明として読みます。Sartorius は Biosealer TC を、分類された環境でも分類されていない環境でも使えるとします。CPC細胞培養加工施設。清浄度区分や空調・差圧・動線・環境モニタリングを備え、再生医療等製品を製造する施設。詳しく → は AseptiQuik を、非無菌の環境でも無菌接続できるとうたいます。どちらもメーカーの性能表示で、部屋のグレードを下げてよいという許可ではありません。PDA Letter(2024年4月)が載せた回答28件の業界調査では、ISCD の利用者の多くが、無菌プロセスでもグレードC以下で使っていました。筆者は、改訂版 Annex 1 の文言から許容されるように読めると述べています。ただし、これは使われ方の実態です。使うたびの完全性を示す根拠は、自社で持つ必要があります。

部屋のグレードを下げる根拠は、閉鎖系という名前ではなく、毎回の使用で完全性が保たれると示したデータです。

切り離し ― シーラーとディスコネクターの違い

つなぐ作業には条文がありますが、切り離しを直接扱う条文は、Annex 1 の本文にありません。

FDA のガイダンスは、培地細胞を体外で生存・増殖させるために必要な栄養・エネルギー源・成長因子などを含む液体または固体の環境基盤。詳しく →充填処方済みの溶液をバイアルやシリンジなどの容器へ無菌的に充填し、封止する製造工程。詳しく →の設計に含める項目に、無菌の機器の切り離しと接続の種類、無菌的な採取を挙げます。切り離しの根拠は、メーカーの検証資料と自社の培地充填で作ります。

1つ目は、チューブを熱で封じてから切るチューブシーラーです。Sartorius の Biosealer TC は、チューブを2つの発熱体で挟み、熱と圧縮で融着させます。液の入ったチューブも封じられます。封じ終えたら、封止部に組み込まれた切断線に沿って、はさみで切ります。対応は外径 1/4〜1インチの熱可塑性エラストマー(TPE)です。設定には Tuflux、C-Flex 374、AdvantaFlex、PharMed BPT などがあり、パラメーターは室温での検証にもとづくとされます。封じた端は元に戻りません。

2つ目は、切り離しに対応した無菌コネクターです。CPC は2022年に、接続と切り離しを1つでこなすジェンダーレスの AseptiQuik G DC を出しました。Merck の Lynx CDR抗体可変領域のうち抗原と直接接触するループ状の領域。重鎖・軽鎖に3本ずつあり、標的にはまり込む。詳しく → は、最大6回の接続、切り離し、再接続ができる型です。接続と切り離しは最大 0.7 bar(10 psi)の配管圧で行え、使用圧は最大 4.1 bar(60 psi)、使用温度は 2〜40℃です。

選ぶ軸は、チューブの材質と、同じ口を再び開けるかです。熱で融けないシリコーンは、シーラーで封じられません。コネクターはホースバーブに付くので、シリコーンにも使えます。一方向の切り離しなら、流路に何も残らないシーラーが簡素です。何度も開閉するなら再接続できるコネクターを選び、残る本体とシールを抽出物・浸出物の評価に加えます。

左右に2つの切り離し方式を並べた図。左はチューブシーラーで、熱で封じてから切る。仕組みは3段階で、2つの発熱体でチューブを挟んで熱と圧縮で融着し、封止部の切断線に沿ってはさみで切り、切った後の封じた端は元に戻らない。右はディスコネクターで、切り離しに対応した無菌コネクター。仕組みは、接続、切り離し、再接続の順で、同じ口をもう一度つなげる。中央に選ぶ軸が2つある。1つ目はチューブの材質で、シーラーは熱可塑性エラストマー(TPE)に使え、熱で融けないシリコーンは封じられない。コネクターはホースバーブに付くのでシリコーンにも使える。2つ目は同じ口を再び開けるかで、一方向の切り離しなら流路に何も残らないシーラーが簡素。何度も開閉するなら再接続できるコネクターを選び、残る本体とシールを抽出物・浸出物の評価に加える。最下段は、メーカーの検証資料と、接続と切り離しを含む自社の培地充填の2つから切り離しの根拠をつくる流れで、切り離しを直接扱う条文は Annex 1 の本文になく、検証は使う側が培地充填の中に組み込む。
チューブシーラーとディスコネクターの仕組みと選ぶ軸、検証を培地充填に組み込む流れの概念図

切り離しの方式はチューブの材質と再接続の有無で決まり、条文がないぶん、検証は使う側が培地充填の中に組み込みます。

閉じる場所を決める順番 ― 工程図から開放操作を数える手順

先に、工程図に番号を振ります。対象は、液や細胞が外気に触れうる場所のすべてです。培地の投入、サンプリング、ハーベスト、分注に加え、トラブル時の手順と保守で開ける場所も入れます。各番号に、除菌ろ過の前か後ろか、1回の製造で何回開けるか、チューブの材質を書き添えます。

次に、その接続を消せないかを考えます。事前に組み立てて滅菌した流路にすれば、現場でつなぐ点は設計の段階で消えます。

そのうえで、残った番号を、閉じたままつなぐ場所と開けてつなぐ場所に分けます。前者には、材質と回数でコネクターか溶着機を当てます(無菌接続はコネクターと溶着のどちらを選べばいい?)。後者には、安全キャビネットかアイソレーターを割り当てます(アイソレーターと RABS)。細胞治療での閉じ方は、閉鎖系での細胞製造で解説しています。

切り離す場所は、材質と再接続の有無で、シーラーかディスコネクターを決めます。メーカーには、自社のチューブ材質、液温、保管の条件で、接続と切り離しの完全性を示したデータがあるかを聞きます。

最後に、背景の部屋のグレードと更衣を決めます。開けてつなぐ場所が残るなら、グレードAとその背景です。閉じた場所だけで部屋を下げたいなら、8.130 の条件に合う根拠が要ります。メーカーの検証、受入検査、接続と切り離しを含む培地充填の結果で、そろえます。内容は汚染管理戦略(CCS)に書き、変えるときは当局の見方を先に確かめます。

製品は無菌コネクター・チューブで比べられます。接続の図をメーカーへ送るときは、無料のアッセンブリー依頼図ツールで依頼図を作れます。

参考文献

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、共通に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。