共通基礎知識・製造工程

シングルユースアッセンブリーとは?構成部品の種類・名称・選び方

アッセンブリーの図面で、1本のチューブに「1/4インチ」「3/8インチ」「1.5インチ」と3つの寸法が書かれていたら、それぞれどこの寸法か分かるでしょうか。順に、チューブの内径、チューブの外径、先端に付いたトリクランプという継手の呼び径です。最後の1.5インチは、つなぐ相手のステンレス管の外径を指しています。

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シングルユースアッセンブリーとは?構成部品の種類・名称・選び方

シングルユースアッセンブリーは、バッグやチューブ、継手、フィルターなどをメーカーが組み上げ、ガンマ線などで滅菌して届ける使い捨て使い捨ての樹脂製バッグや容器を用いる製造方式です。洗浄・滅菌の手間を減らせる一方、ステンレス設備と比べて特徴が異なり、目的に応じて選び分けます。詳しく →の流路です。カタログには部品が大量に載っていても、どう組み合わせるかまでは書かれていません。部品の名前と役割が分かれば、図面が読め、メーカーへ仕様を正確に伝えられます。

培地をミキサーバッグからフィルターを通してバイオリアクター細胞やウイルスの培養を制御された環境下で大規模に行うための培養槽で、商業規模の製造に用いられる。詳しく →へ送る1本のラインをたどると、主な部品はほぼ出そろいます。

工程での位置 ― 培地をバイオリアクターへ送る1本のライン

図1は、このラインを部品ごとに描いた概念図です。実際の配置は工程の設計で変わります。

図1 培地をバイオリアクターへ送るアッセンブリーの概念図。左のアッセンブリーA(ミキサー側)では、ミキサーバッグの上に①ベントフィルター、脇に③サンプリングラインがあり、底の②出口ポートから出た④シリコーンチューブに⑤ピンチクランプが付く。⑥無菌コネクターで中央のアッセンブリーB(送液ライン)につながり、BのTPEチューブは⑦ポンプ区間を通って、⑧継手(ホースバーブと保持具)から⑨液体用の無菌ろ過フィルター(0.2 µm)に入る。右端は⑩チューブ溶着でバイオリアクターのフィードラインに継ぎ、バイオリアクターの上には⑪給気・排気フィルターがある。下に①〜⑪の役割の凡例がある
図1 培地をバイオリアクターへ送るアッセンブリーの概念図

ミキサーのバッグで溶かした培地は、出口ポート(②)からチューブ(④)へ出ます。ピンチクランプ(⑤)は、接続が済むまで流れを止めておく部品です。ミキサー側のアッセンブリーAと送液側のBは、無菌コネクター無菌状態を保ったまま2本のチューブや流路をつなげる接続部品です。開放せずに滅菌済みの液経路を接続でき、外部からの汚染リスクを抑えます。詳しく →(⑥)でつながります。

チューブはポンプ(⑦)に掛かり、ホースバーブの継手(⑧)から無菌ろ過細菌を止めることを実証したフィルターに液を通し、無菌のろ液を得る工程です。除菌ろ過・ろ過滅菌とも呼び、菌の数を下げるだけのバイオバーデン低減ろ過とは区別します。0.22µm前後の膜が広く使われます。詳しく →フィルター(⑨)に入って微生物が除かれます。最後は溶着(⑩)で、バイオリアクターのフィードラインに継ぎます。上にはベントフィルタータンクやバイオリアクターの通気・排気ラインに付け、出入りする空気を除菌して内部の無菌を保つ疎水性フィルターです。詳しく →(①⑪)、脇にはサンプリングライン(③)があります。

ろ過した培地細胞を体外で生存・増殖させるために必要な栄養・エネルギー源・成長因子などを含む液体または固体の環境基盤。詳しく →をいったん保持バッグに受け、あとからつなぐ設計もあります。部品の種類は同じです。

1本のラインでも、つなぐ方法は無菌コネクター、溶着、継手の3種類に分かれ、それぞれ部品の選び方が違います。

部品の役割 ― 液に触れる部品と触れない部品

部品は、ためる(バッグ)、通す(チューブ)、つなぐ(継手と無菌接続チューブや容器を無菌状態を保ちながら接続する操作で、専用の溶着装置などを用いて行う。詳しく →)、止める(クランプとバルブ)、守る(フィルター)に分かれます。

もう1つの見方が、液に触れるかどうかです。バッグのフィルム、チューブ、継手やコネクター、フィルターは液に触れるので、抽出物(extractables)の評価の対象に入ります。ピンチクランプやホースクランプは、チューブの外側にしか触れません。

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種類と違い

バッグ ― 2Dと3D

2Dバッグ平面的な形をした使い捨てのバイオプロセス用バッグ(BPC)です。折りたためて保管しやすく、小〜中容量の試薬や中間液の保存・輸送に使います。詳しく →は平たい枕型です。Saint-Gobain の標準品は 50 mL〜20 L で、ポートは2つか3つあります。3Dバッグ立体形状で大容量の液体を扱える使い捨てバッグです。ドラムやタンクなどの支持容器に収めて使い、培地やバッファーの保存・輸送に用います。詳しく →は Palletank のような外装容器に収める大容量品で、Sartorius の Flexsafe 3D for Palletank には 1,000〜2,500 L の品があります。

容量の次にポートを見ます。Flexsafe 2D の標準品力価の基準に定めた品。検体と同じアッセイで並べて測り、相対力価の基準にする。詳しく →の一例では、出口が 3/4 インチのトリクランプと内径 3/8 インチのシリコーンチューブ、サンプリングラインが内径 1/4 インチ・長さ 0.1 m という構成です。

チューブ ― 材質と内径・外径

チューブは「内径×外径」で呼びます。

Sartorius の Tuflux TPE には、内径 1/4 インチで外径 3/8 インチの品と 7/16 インチの品があります。内径が同じでも、肉厚が違えば合うポンプヘッドは変わります。

材質は主にシリコーンと熱可塑性エラストマー(TPE)です。シリコーンは熱硬化性で、温めても溶けません。そのため溶着もシールもできず、Sartorius も比較表で Tuflux SIL を「不可」、Tuflux TPE を「可」としています。溶着できる TPE には、C-Flex 374 や PharMed などがあります。

長さは、チューブに残る液の量に効きます。内径 1/4 インチなら 1 m あたり約 32 mL、3 m で約 95 mL が残ります。内径が2倍になると、残る量は4倍です。インチ表記の読み分けは、チューブのサイズ表記とトリクランプの記事で詳しく解説します。

継手 ― ルアー、ホースバーブ、トリクランプ

図2は、継手とクランプの形を横から見た模式図です。

図2 つなぐ部品と止める部品の形の模式図。ルアーはメスのテーパー穴にオスのテーパーを差し込む継手で、差し込むだけのスリップとねじで留めるロックがあり、開ければ流路が外気に触れる。ホースバーブは山の付いた筒にチューブをかぶせて押し込み、結束バンドやイヤークランプなどの保持具で外から締めて抜けを止める。トリクランプは2つのヘルールでガスケットを挟みクランプで締める継手で、呼び径はステンレス管の外径、1インチと1.5インチはフランジ径がどちらも50.5 mm。ピンチクランプはチューブを潰して流れを止め、ホースクランプは継手に締めて抜けを止める。どちらも液には触れない
図2 つなぐ部品と止める部品の形の模式図

ルアーは、注射器と同じ規格(ISO 80369-7:2021)の小さな継手です。差し込むだけのルアースリップと、ねじで留めるルアーロックがあります。キャップを外せば流路が外気に触れるので、無菌接続の部品ではありません。

ホースバーブ(タケノコ継手)は、山の付いた筒にチューブをかぶせて押し込む継手です。呼びはチューブの内径に合わせます。抜けにくさと耐圧を上げるため、結束バンドやイヤークランプ、Saint-Gobain の BarbLock のような保持具で外から締めます。

トリクランプ(Tri-Clamp、TC)は、ヘルール2つでガスケットを挟み、クランプで締める継手です。ステンレス設備と同じ形式なので、タンクや配管へつなぐ場面に向きます。1 インチと 1.5 インチのヘルールはフランジ径がどちらも 50.5 mm で、クランプは共通でも、ガスケットの穴径が違います。継手の選び方と組み合わせ方は、ルアー・ホースバーブ・トリクランプの選び方の記事で詳しく解説します。

クランプとバルブ ― ピンチクランプ、ピンチバルブ、ホースクランプ

名前は似ていても、役割は逆です。ピンチクランプはチューブを外から潰して流れを止めます。ホースクランプはチューブを継手に締め付けて、抜けを止める保持具です。

Repligen の ProConnex Pinch Clamp は、内径 3/16〜1-1/8 インチのチューブに使うねじ式の再使用型です。送液を自動で止めるなら、アクチュエーターでチューブを挟むピンチバルブを使います。液に触れるのはチューブだけで済みます。ただし長く強く閉じると、チューブの内面が貼り付いて開かなくなることがあります。

無菌接続 ― 無菌コネクターとチューブ溶着

開けずにつなぐ方法は2つです。EU GMP Annex 1(2022年改訂)は、本質的無菌接続デバイス(intrinsic sterile connection device)を使えば、接続作業の環境グレードを下げられる場合があるとしています。これに当たるのが、チューブ溶着機と機械式の無菌コネクターです。

無菌コネクターには、Cytiva の ReadyMate や Kleenpak Presto、CPC細胞培養加工施設。清浄度区分や空調・差圧・動線・環境モニタリングを備え、再生医療等製品を製造する施設。詳しく → の AseptiQuik G のように、同じ形どうしがつながるジェンダーレス型があります。Sartorius の Opta SFT や Merck の Lynx S2S は、オスとメスを組む型です。系列が違えば、基本的につながりません。

溶着は、TPE などの熱可塑性チューブを熱で溶かして1本に継ぐ方法です。Sartorius の Biowelder TC は外径 1/4〜1 インチの TPE チューブが対象で、内径 1/8×外径 1/4 インチのチューブは対象外です。切り離すときは、チューブシーラーで熱で封じてから切ります。装置なしで速くつなぐならコネクター、部品を流路に残したくないなら溶着が向きます(使い分けの解説、Q&A)。ステンレス設備のトリクランプへ開放でつなぐ場合は、グレードA充填点周辺など無菌操作の中心となる最高清浄度区域。作業中も連続監視される。詳しく →(ISO 5)の層流の下で行います。

フィルター ― ベント用と液体用

ベントフィルターは水をはじく疎水性分子が水と親和せず、油脂や非極性溶媒と相互作用しやすい性質で、二本鎖RNAと一本鎖RNAではその程度が異なり分離の指標となる。詳しく →の膜で、PTFE が一般的です。気体だけを無菌のまま通します。液体用の無菌ろ過フィルターは、液を通す親水性の 0.2 µm 膜です。Sartorius の Flexsafe 2D には、Sartopore 2 XLG をバッグと一体にした品もあります。

製品を無菌に仕上げる最終の無菌ろ過では、EU GMP Annex 1無菌医薬品の製造に関するEU GMPの付属書。汚染管理戦略などを求める無菌製造の基準。詳しく → の 8.87 が滅菌後・使用前の完全性試験(PUPSIT)を求めています。できない場合はリスク評価工程や製品に潜在するリスクの種類・発生可能性・影響度を系統的に特定・分析し、優先的に管理すべき項目を決定する手続き。詳しく →による代替が認められます。培地ろ過のような上流のフィルターで試験をするかどうかも、リスク評価で決めます。試験をするなら、そのための配管を最初から組み込みます。

サンプリングライン・マニホールド

サンプリングラインは本流から分かれた短い枝で、Flexsafe 2D の内径 1/4 インチ・長さ 0.1 m のラインがその例です。マニホールドは、Y字やT字の継手で1本の流れを複数のバッグへ分ける構成です。枝を足すほど接続点が増え、リーク試験と抽出物評価の対象も増えます。

選ぶときの判断軸 ― 両端の相手・材質・滅菌

仕様は、真ん中ではなく両端から決めます。

まず端の相手を確かめます。同じ系列のコネクターを持つアッセンブリーならコネクター、溶着できる TPE なら溶着、ステンレス設備ならトリクランプです。

次にチューブです。溶着かシールが1か所でもあれば、その区間は TPE にします。シリコーンとの境目は溶着できないので、ホースバーブかコネクターでつなぎます。内径は流量と残る液の量で決めます。ポンプに掛ける区間はヘッドの対応肉厚に合わせ、Heidolph の SP 標準ヘッドなら 1.6 mm です。

そのうえでピンチクランプとピンチバルブを置きます。滅菌法(ガンマ線か X 線か)と線量範囲は先に決めておき、最後に、選んだ部品がすべてそれに耐えるかを照らします。工場で照射するアッセンブリーでは、中の部品すべてが同じ滅菌法と線量に耐えなければならないからです。

滅菌の条件を先に決めておき、端末、材質と内径、クランプの順に部品を選ぶと、流路を組み直す手戻りが減ります。

よくある失敗・見落とし

取り違えやすいのがインチです。1.5 インチのヘルールでも、管の内径は約 34.8 mm です。樹脂のトリクランプ部品なら、流路の太さは裏に付いたバーブとチューブで決まります。「1.5 インチの流路」と読むと、流量も残る液の量も見積もりを外します。

書類では、USP米国で医薬品・原料・試験法の公式基準を定める公定書で、製薬用水に関する規格も収載されている。詳しく → Class VI と抽出物データを混同しがちです。Class VI は USP〈88〉の生物学的反応性試験で、抽出物の評価とは別の試験です。

寸法はどこを測った値か、書類は何を試した結果かまで確かめて読みます。

仕様の決め方と発注 ― 図面・部品表・滅菌・書類

カスタム品は、図面と部品表で仕様を固めて発注します。

図面にはチューブの材質、内径×外径、区間ごとの長さ、両端の端末を書き、使用圧も確かめます。Sartorius の TPE 製延長ライン(C-Flex 374 製)の例では、使用圧が 1 bar です。

滅菌はガンマ線が中心で、Merck の Mobius は検証済みの線量 25〜40 kGy で照射しています。ガンマ線の供給が逼迫したため、X 線照射を代わりに取り入れたメーカーも多くあります。

書類は、Mobius の例では部材ごとの Validation Guide と、ロットごとの Certificate of Quality が出ます。抽出物データは、BPOG の標準プロトコルや、2026年5月に公定化された USP〈665〉製造に用いるプラスチック部材・システムの評価に関する米国薬局方の一般試験法。詳しく →に沿うかを確かめます。納期も仕様の一部です。Parker は白書で、カスタム化によって納期が6〜16週以上延びると書いています。

アッセンブリーの仕様を決めるときのチェックリスト

メーカーへの仕様確認や見積依頼に、そのまま写して使えます。

  • 用途と液:どの工程でどこへ送るか、液の種類と温度、光に弱いか
  • 液量と流量:1回に送る量、流量、ポンプの機種
  • チューブ:材質、内径×外径、区間ごとの長さ、ポンプ区間の肉厚
  • 両端の接続:相手の機器、端末の種類と呼び径、オスかメスか
  • 無菌接続:コネクターの系列、溶着・シールの箇所と溶着機の機種
  • クランプとフィルター:ピンチクランプとバルブの位置、ベントと液体用フィルターの位置、完全性試験除菌フィルターに欠陥がなく所定の孔径を保っているかを確認する試験。無菌ろ過の信頼性を裏づける。詳しく →の配管
  • 滅菌:ガンマ線か X 線か、線量範囲、有効期限
  • 書類:Validation Guide、ロットごとの証明書、抽出物データ(BPOG部材を比べられるよう抽出条件と報告方法を標準化した業界標準。規制上の合否を直接定めるものではない。詳しく →、USP〈665〉)、変更通知の取り決め
  • 納期:標準品かカスタムか、図面承認にかかる期間
POINT
メーカーの Validation Guide が示すのは、部材がメーカーの試験条件で仕様を満たすことです。自社の液と温度、接触時間で製品の品質と無菌性が保たれることを示すのは、使う側のプロセスバリデーションです。浸出物(leachables)の評価も、こちらの仕事に入ります。

チェックリストの答えがそろったら、アッセンブリー依頼図ツールで構成を図にしておくと、メーカーとのやり取りが早くなります。部品を置いてつなぐだけで、番号付きの図、構成一覧、部品表、問い合わせ文のたたき台がそろいます。製作図面ではなく、依頼や相談に使う概念図です。

メーカー・製品

完成品はシングルユース・アッセンブリーとシングルユース流路で比べられます。無菌コネクターと溶着機は無菌コネクター・チューブにあります。上で挙げた Kleenpak Presto は Pall が発売し、現在は Cytiva のブランドです。

小分けや収穫に使うバッグはサンプリングバッグとハーベストバッグ、フィルターはベントフィルターと滅菌フィルターで横断できます。

アッセンブリーの図面を初めて見たとき、名前や役割が分からなかった部品はどれでしたか。ProgLoop で、ほかの現場の経験も聞いてみてください。

参考文献

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編集メモ:この記事はProglenth編集部が、共通に関する基礎的な情報を、はじめての方にも分かるように整理したものです。実際の製造方法・管理戦略・品質基準は、製品や企業、各国の規制によって異なります。本記事は一般的な解説であり、特定製品の推奨や規制・医療上の助言ではありません。実務で判断される際は、各極の薬局方・ガイドライン(ICH/GMP等)やメーカーの一次情報を必ずご確認ください。内容に誤りやご指摘があればお問い合わせからお知らせください。