独ヘルスケア大手の Fresenius が、9月30日、バイオシミラー(バイオ後続品)を手がける mAbxience の残り45%の株式を取得し、完全子会社にしたと発表しました。株式はInsud PharmaとInvim Corporativoの2社から買い取り、取得額は最大7億5000万ユーロ(約1250億円)です。うち5000万ユーロは、製造拠点が当局の承認を得られるかどうかに応じて後から支払う条件付きの額です。規制当局の承認は不要で、署名と同時に取引を終えました。Freseniusは2022年に55%を取得して以来この事業を傘下に置いてきましたが、今回で全株式を握ります。
最大7.5億ユーロ、うち5000万ユーロは拠点承認が条件
買い取ったのは残りの45%で、これでFreseniusはmAbxienceを100%保有します。支払う最大7億5000万ユーロのうち5000万ユーロは、製造拠点が当局の承認を得られるかどうかに連動する後払いです。バイオシミラーは特許の切れた抗体医薬を同等の品質でつくり、低い薬価で競う製品です。利益は製造原価と、どの国でいつ発売できるかで決まります。完全保有へ切り替えれば、設備投資も原価の作り込みも発売の時期も、Freseniusが自社だけで決められます。内製と外注のどちらを選ぶかという問いに対し、同社は主力のバイオシミラーを内側へ取り込む側へ振りました。取得額の一部を拠点の承認に紐づけた点に、この買収がブランドではなく製造能力を買う取引だという性格が表れています。
スペインとラテンアメリカの、抗体の原薬工場3か所
mAbxienceは、スペインとラテンアメリカに多品目対応の原薬(ドラッグサブスタンス)製造拠点を3か所持ちます。抗体のバイオシミラーを自社で開発するだけでなく、他社からの受託製造(CDMO)も引き受けてきました。スペイン側の主力はレオンの工場で、同国でも有数のバイオ医薬品の製造拠点です。研究開発から原薬と製剤の製造、各国での同等性の立証までを一社の中で回せる構えが、今回Freseniusの手に完全に移ります。買収はFreseniusのBiopharma事業の一部に位置づけられ、同社は今後の製品ラインを広げる土台だと説明しています。原薬の工場まで自社で抱え込むことが、薬価の下がりやすいバイオシミラーで利益を残すための一手です。
バイオシミラーは、先行品の特許切れを待つ各社がひしめき、価格競争の激しい領域です。Freseniusが開発から製造までを完全に握るこの賭けが、原価と発売の時期を自社で制御して利益を残す狙いにどこまで届くか。拠点の承認に紐づけた5000万ユーロが実際に支払われるところまで進むかどうかが、まず一つの試金石です。
※ 本ページは公開情報をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。