精製
2026.09.30•Sartorius•約6分

Resolute BioSMB(Sartorius)――カラムを小さく分ける連続捕捉

Photo: CDC / Unsplash

Resolute BioSMB は、Sartoriusが供給するシングルユースの連続マルチカラムクロマトグラフィーシステムです。大きなカラムを1本使う代わりに、小さなプリパックドカラムを最大16本つなぎ、それらを順ぐりに切り替えながら、負荷・洗浄・溶出・再生を並行して回します。工程開発向けの流量は1〜100mL/min、製造向けにはBioSMB 80(5〜80L/h)とBioSMB 350(30〜350L/h)があり、いずれも8本のカラム位置を持ちます。

ここで押さえておきたいのは、この装置がカラムの容量ではなく、小さなカラムの本数と時間あたりの処理量でスケールを語っているという点です。

連続マルチカラムという方式

クロマトグラフィーで抗体をつかまえるとき、樹脂には結合できる量の限りがあります。回分(バッチ)方式では、溶液を流しすぎると結合しきれなかった抗体がカラムの先から漏れ出す(破過、ブレークスルー)ため、破過が始まるずっと手前で負荷を止めます。安全をみて止めるぶん、樹脂の結合能力は使い切れずに残ります。

Resolute BioSMBは、この漏れを別のカラムで受け止めます。1本目をわざと破過の近くまで負荷し、あふれた抗体を2本目が捕まえる。その間に、負荷を終えたカラムは洗浄・溶出・再生へ回り、役割を1本ずつずらしながら全体で連続に流し続けます。この動かし方は擬似移動層(SMB)やマルチカラム捕捉(MCC)と呼ばれ、対応できるのはプロテインAアフィニティやイオン交換のバインド・アンド・エルート、疎水性相互作用(HIC)、サイズ排除(SEC)などです。⁠小さなカラムを限界の近くまで使い、あふれたぶんを次のカラムで受けることが、樹脂を余さず使うための仕組みの核にあります。

PDから商用まで一つの流路

Resolute BioSMBには、工程開発機のPDと、製造機のBioSMB 80・350があります。PDは最大16本のカラムで条件を探り、製造機は8本で回します。最大操作圧は10barg(145psig)、製品に触れる流路はすべて使い捨てです。

3つのスケールを貫いているのは、同じ流路設計と同じ制御の考え方です。PDで決めた樹脂も緩衝液も変えないまま、BioSMB 80や350へ移せるように作ってあります。BioSMB 350は流加培養で2,000Lまでの培養液を受けられ、灌流培養にも合わせられます。メーカーは、回分方式と比べて処理量が3〜6倍に上がるとしています。⁠開発で固めた条件を、樹脂も緩衝液も入れ替えずに製造スケールへ運べることが、この装置の実務上の値打ちです。

使い捨てバルブカセットが外す洗浄の負担

連続クロマトでは、多数のカラムへ液を振り分けるために、たくさんのバルブを高い頻度で切り替えます。Resolute BioSMBは、そのバルブ群を1つの使い捨てカセットにまとめ、製品接液部ごと交換できるようにしました。カセットのホールドアップ(死容積)は1mL未満で、ポンプ洗浄の手間を抑えます。

バルブを使い捨てにする狙いは、洗浄と、その洗浄が効いていることを示すバリデーションを省くことにあります。装置に残る汚れの持ち越しを、そもそも作らない。そのかわり、運転のたびに流路一式を資材として買い足します。⁠洗浄バリデーションを外す代わりに運転ごとに使い捨て資材を買い足す。この引き換えが、連続化のコストを見積もるときの分かれ目です。

導入で確認したいこと

※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様の詳細は公式情報をご確認ください。

主要諸元

方式シングルユース連続マルチカラムクロマトグラフィー(SMB方式)
カラム数工程開発機(PD)は最大16本、製造機は8本のプリパックドカラムを接続
流量レンジPD 1〜100mL/min / BioSMB 80 5〜80L/h / BioSMB 350 30〜350L/h
最大操作圧10barg(145psig)
流路全バルブを1つの使い捨てカセットに集約、製品接液部はシングルユース、バルブのホールドアップは1mL未満
対応モードバインド・アンド・エルート(プロテインAアフィニティ・イオン交換)、疎水性相互作用(HIC)、サイズ排除(SEC)、メンブレン/モノリス捕捉
主な用途灌流・流加培養液からの抗体などの連続捕捉・ポリッシング(臨床〜商用)。BioSMB 350は流加2,000Lまでの培養液を想定

いずれもメーカー公表値です。構成やキットにより異なるため、実際の条件はメーカーの製品ページでご確認ください。

メーカー公式
Sartorius
製品ページを見る ↗

本ページは各社の公開情報をもとに、Proglenth編集部が整理したものです。仕様・数値はメーカー公表値、発言は発表資料からの引用(英文は編集部訳)であり、本ページは販売・推奨を目的とするものではありません。導入の検討では必ず一次情報とメーカーへの確認を行ってください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

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