Resolute BioSMB は、Sartoriusが供給するシングルユースの連続マルチカラムクロマトグラフィーシステムです。大きなカラムを1本使う代わりに、小さなプリパックドカラムを最大16本つなぎ、それらを順ぐりに切り替えながら、負荷・洗浄・溶出・再生を並行して回します。工程開発向けの流量は1〜100mL/min、製造向けにはBioSMB 80(5〜80L/h)とBioSMB 350(30〜350L/h)があり、いずれも8本のカラム位置を持ちます。
ここで押さえておきたいのは、この装置がカラムの容量ではなく、小さなカラムの本数と時間あたりの処理量でスケールを語っているという点です。
連続マルチカラムという方式
クロマトグラフィーで抗体をつかまえるとき、樹脂には結合できる量の限りがあります。回分(バッチ)方式では、溶液を流しすぎると結合しきれなかった抗体がカラムの先から漏れ出す(破過、ブレークスルー)ため、破過が始まるずっと手前で負荷を止めます。安全をみて止めるぶん、樹脂の結合能力は使い切れずに残ります。
Resolute BioSMBは、この漏れを別のカラムで受け止めます。1本目をわざと破過の近くまで負荷し、あふれた抗体を2本目が捕まえる。その間に、負荷を終えたカラムは洗浄・溶出・再生へ回り、役割を1本ずつずらしながら全体で連続に流し続けます。この動かし方は擬似移動層(SMB)やマルチカラム捕捉(MCC)と呼ばれ、対応できるのはプロテインAアフィニティやイオン交換のバインド・アンド・エルート、疎水性相互作用(HIC)、サイズ排除(SEC)などです。小さなカラムを限界の近くまで使い、あふれたぶんを次のカラムで受けることが、樹脂を余さず使うための仕組みの核にあります。
PDから商用まで一つの流路
Resolute BioSMBには、工程開発機のPDと、製造機のBioSMB 80・350があります。PDは最大16本のカラムで条件を探り、製造機は8本で回します。最大操作圧は10barg(145psig)、製品に触れる流路はすべて使い捨てです。
3つのスケールを貫いているのは、同じ流路設計と同じ制御の考え方です。PDで決めた樹脂も緩衝液も変えないまま、BioSMB 80や350へ移せるように作ってあります。BioSMB 350は流加培養で2,000Lまでの培養液を受けられ、灌流培養にも合わせられます。メーカーは、回分方式と比べて処理量が3〜6倍に上がるとしています。開発で固めた条件を、樹脂も緩衝液も入れ替えずに製造スケールへ運べることが、この装置の実務上の値打ちです。
使い捨てバルブカセットが外す洗浄の負担
連続クロマトでは、多数のカラムへ液を振り分けるために、たくさんのバルブを高い頻度で切り替えます。Resolute BioSMBは、そのバルブ群を1つの使い捨てカセットにまとめ、製品接液部ごと交換できるようにしました。カセットのホールドアップ(死容積)は1mL未満で、ポンプ洗浄の手間を抑えます。
バルブを使い捨てにする狙いは、洗浄と、その洗浄が効いていることを示すバリデーションを省くことにあります。装置に残る汚れの持ち越しを、そもそも作らない。そのかわり、運転のたびに流路一式を資材として買い足します。洗浄バリデーションを外す代わりに運転ごとに使い捨て資材を買い足す。この引き換えが、連続化のコストを見積もるときの分かれ目です。
導入で確認したいこと
- 自社の捕捉・ポリッシング工程で使う樹脂が、小さなカラムを繰り返し使う連続運転でも寿命(サイクル数)と結合能を保てるか
- 回分からの移し替えで、破過の近くまで負荷を上げたときの製品品質(凝集体・不純物)が規格の中に収まるか
- 灌流や流加の培養液の量と、BioSMB 80/350の処理量(5〜80/30〜350L/h)が釣り合っているか
- 使い捨てカセットの資材費と、洗浄バリデーションを省けるぶんの手間の減りを、年間の運転回数で比べているか
- メーカーの示す3〜6倍の処理量が、自社の樹脂と抗体で再現するかを小規模で確かめたか
※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様の詳細は公式情報をご確認ください。
