Planova 20N は、銅アンモニア法で再生したセルロースの中空糸でできたウイルス除去フィルターです。1989年に出た Planova 系列はこの分野の原型にあたり、いまも規格の議論の起点になっています。
名前は 20N ですが、実測の平均孔径は 19 ± 2 nm です。呼び値と実測がずれているのではなく、呼び値のほうが丸めた表示だと考えたほうが読み違えません。
孔径 20 nm が、どのウイルスを止めるか
ウイルス除去フィルターは、孔径によって止められる相手が変わります。20 nm クラスは、いちばん小さい部類のウイルスまで届く側です。
ブタパルボウイルス(PPV)の除去は、処理量を増やしても 4.0 LRV を割らないと公表されています。IgG 溶液では 5.8〜7.3 LRV という報告もあります。エンベロープを持つ大きい側、たとえばレトロウイルスは、パルボが抜け始めても検出されず、臨床試験の申請では 6 log 超として扱われてきました。
ここで注意したいのは、LRV が処理量によらないという主張のほうが、絶対値より重い点です。ウイルス除去フィルターは、流量が落ちたり負荷が進んだりすると除去性能が下がることがあります。ウイルスクリアランス試験では、最悪条件での値が問われます。
親水性の膜だから、大きいタンパク質が通る
再生セルロースの膜はそれ自体が親水性で、タンパク質を吸着しにくい性質があります。中空糸の構造を分子が素通りするので、変性も起きにくい。
この性質が効くのは、分子が大きいときです。血漿由来の免疫グロブリンや、340 kDa ある第VIII因子でも回収率を保てます。抗体や組換えタンパク質は、だいたいこの側で落とします。孔径 20 nm の膜に 340 kDa の分子を通すというのは、孔径と分子径の差が思ったより小さいということでもあります。
膜面積は 0.001 m² の小型から 1.0 m² まであります。小型は開発時のウイルススパイク試験に使い、そこで得た結果を商用の面積へ持ち上げる形になります。
単層であることの意味
Planova N シリーズの膜は単層です。孔径の違う層を重ねて段階的に捕まえる構成ではなく、1つの層で分けます。
単層は、構造が単純なぶん挙動が読みやすく、完全性試験の解釈も素直になります。一方で、負荷の高い液では詰まりが早く出ます。前段の清澄化や、凝集体の除去をどこまで効かせておくかが、通る量を決めます。
導入で確認したいこと
- 自社の分子で回収率を実測したか(公表値は IgG と第VIII因子の例)
- ウイルススパイク試験を、最悪条件(流量低下・負荷後)で組んだか
- 開発時の小型膜と商用の膜で、面積あたりの負荷を揃えられるか
- シングルユースなので、1バッチあたりの本数と在庫をどう持つか
※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様・除去性能の詳細は公式情報をご確認ください。
