Sepax C-Pro は、Cytivaの自動細胞処理装置です。濃縮、洗浄、希釈、分割、磁気ビーズとのインキュベーション、スピノキュレーション(遠心を使った形質導入)、選択的分離といった工程を、1台のベンチトップ機とシングルユースのキットで組み合わせられます。寸法は431.8×279.4×609.6 mm、質量は18.14 kgとコンパクトです。
この装置がCAR-Tなどの細胞治療製造で選ばれる理由は、処理できる工程の幅そのものよりも、単体の遠心分離機を工程から追い出せるという点にあります。
遠心分離機を単体で置かない設計
細胞治療の製造では、細胞を洗浄・濃縮する段階で遠心分離が欠かせません。ただし従来の運用では、この遠心分離を独立した装置で行い、閉鎖系の流路からいったん外に出して処理し、また閉鎖系に戻すという形になりがちでした。閉鎖系が途切れる箇所が増えるほど、開放操作に伴う汚染の機会も増えます。
Sepax C-Proは、遠心分離を含む複数の工程をシングルユースのキットの中に組み込み、独立した遠心分離機を別に置かなくても同じ結果を得られるようにしています。閉鎖系の鎖をどこで切らずに済ませるかという設計思想が、この装置の中心にあります。
洗浄の回収率は条件で10ポイント近く動く
CultureWash C-Proという洗浄アプリケーションの検証では、回収率は86%を超え、手動での抽出操作を併用した場合は平均95%まで上がったと報告されています。この差は、すすぎに使う液量や、工程の途中で残す中間容量といったパラメータを変えることで生まれています。
ここで見落としやすいのは、回収率が装置固有の一定値ではなく、運転条件によって10ポイント近く動く調整項目だという点です。自動化された装置だからといって、初期設定のまま流せば最良の回収率が出るとは限りません。自社の細胞種と目標濃度に合わせてすすぎ量や中間容量を検証し、回収率を確認したうえで手順に落とし込む作業が要ります。
小型・低消費電力で、据え付けの選択肢が広がる
電源は100〜240 V、50/60 Hzで消費電力は200 VAとわずかです。寸法も奥行き60 cmほどのベンチトップサイズに収まります。
大型の三相電源や専用の床面積を必要としないので、複数の製品を並行して扱う多室構成の施設でも、既存のクリーンルームの作業台やバイオセーフティキャビネットの中に収めやすくなります。据え付けに大掛かりな設備改修を要しないことは、施設の稼働開始までの期間そのものを縮める要素になります。
導入で確認したいこと
- CultureWash C-Proのような特定アプリケーションで、自社の細胞と目標濃度における回収率を実測したか
- すすぎ量・中間容量・手動抽出の有無といったパラメータを、どこまで自社でチューニングする前提か
- シングルユースキットの供給量が、自社の生産計画に対して十分な数量とリードタイムで確保できるか
- 本機がカバーする工程(選択的分離・スピノキュレーションなど)のうち、自社のワークフローで実際に使うのはどこまでか
※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様・性能の詳細は公式情報をご確認ください。
