Millistak+ HC Pro は、Merck のデプスフィルター Millistak+ HC 系列を合成ろ材に置き換えた版です。培養液から細胞と破片を落とす清澄化の一次段階で使う資材で、従来のHC系列は珪藻土を抱かせたセルロースシートが標準でした。HC Proはその珪藻土もセルロースもやめ、ポリアクリル系の合成繊維にシリカ系のフィルターエイドを組み合わせています。
見どころは新しいろ材そのものより、古いハードのまま中身だけを入れ替えられるという設計のほうにあります。
珪藻土をやめても、Podのハードは共通
デプスフィルターの清澄化は、珪藻土やパーライトをセルロースの層に抱かせて、目詰まりしにくい厚みのある層を作るのが長年の標準でした。ただし珪藻土は天然の鉱物なので、ロットごとの組成のばらつきが抽出物・浸出物の評価を揺らす原因になります。
HC Proはこの珪藻土をやめ、合成のポリアクリル繊維にシリカ系のフィルターエイドを組ませる構成に変えました。それでいて容器の形式はPodのまま、既存のHC系列と共通のハードウェアで使えます。マニホールドやハウジングを新調する必要はなく、フィルターの中身だけを差し替えて評価に進めます。
処理容量は珪藻土系の最大2倍
メーカーは、同じ保持性能を保ったまま、処理容量が珪藻土系のHCシリーズと比べて最大2倍になるとしています。これは目詰まりまでに通せる液量が増えるという意味です。
高細胞密度で培養したバッチほど、清澄化に持ち込まれる細胞破片やコロイド状の不純物が多くなります。処理容量が増えれば、同じバッチ量を通すのに必要なPodの枚数や面積を減らせる余地が生まれます。据え付けの本数が減れば、組み立てと廃棄にかかる時間も減ります。容量が2倍という数字は、性能そのものよりも、清澄化にかかる面積とコストの見積もりに直接効いてきます。
保持レンジは、グレードごとの作り分け
公称の保持レンジはグレード全体で約0.1 µmから60 µmまで広がっています。D0・C0・X0といった型番の頭が粗さの違いを示し、HC/SPの末尾がハードウェアと媒体の組み合わせを表します。
粗いグレードは高固形分のフィードで先に大きな粒子を抱え込ませる一次清澄化に、細かいグレードはその後段、0.2 µmの除菌フィルターへ渡す前の二次清澄化に向いています。ただし合成ろ材は珪藻土系と目詰まりの起き方が違うので、旧HCで決めたグレードの割り付けをそのまま持ち込まず、スケールダウン試験で流束と負荷量の関係を測り直す必要があります。
導入で確認したいこと
- 自社の培養液・細胞密度で、旧HC系列と比べた処理容量の伸びをスケールダウン試験で確かめたか
- Podのハードは共通でも、フィルター自体の抽出物・浸出物評価は作り直しになるか
- グレード(D0/C0/X0等)の割り付けを、後段の0.2 µm除菌フィルターの寿命まで含めて見直したか
- 珪藻土を使わない設計であることを、既存のバリデーション文書のどこまで書き換える必要があるか
※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様・処理容量の詳細は公式情報をご確認ください。
