SA25 Aseptic Filling Workcell は、Vanrx Pharmasystems(現在はCytivaの一員)が手がける無菌充填のアイソレータです。バイアル・シリンジ・カートリッジをネストに載せたまま、0.2 mLから50 mLまでの充填に対応します。フォーマットの切り替えにかかる時間は約45分です。
数字よりも先に押さえておきたいのは、この装置がグローブポートそのものを持たないという設計です。
グローブポートを無くすという設計
無菌充填のアイソレータは、Grade A(ISOクラス5)の清浄度を保ちながら、内部の作業をグローブポート越しに人の手で行うのが長年の標準でした。ただしグローブは破損すれば直接の汚染経路になり、手を動かすこと自体が内部の気流を乱す要因にもなります。
SA25は、充填・搬送・打栓までのすべての操作をロボットアームが行う設計にして、グローブポートを装置から無くしました。人の手がGrade Aの空間に入ることが構造上ないので、グローブの完全性という管理項目そのものが要らなくなります。汚染源になり得る要素を手順で管理するのではなく、装置の構造から取り除いてしまう点が、従来型のグローブ付きアイソレータとの違いです。
同時に晒すのは1ネストだけ
SA25のもう一つの特徴は、ISO5環境に同時に晒す容器が1ネスト分に限られることです。バッチ全体のトレイを開けたまま作業するのではなく、容器のまとまりを1つずつ清浄区画に運び込んで充填し、また搬出します。
清浄区画に晒される容器の量と時間が減れば、環境モニタリングで拾うべき異常の母数も、培地充填(メディアフィル)で再現すべき条件も、それだけ絞り込みやすくなります。バッチ単位ではなくネスト単位で清浄環境への露出を区切る設計は、汚染管理戦略を組み立てるときの単位そのものを変えます。
0.2〜50 mLをネストのまま、切替は約45分
充填量は0.2 mLから50 mLまでで、バイアル・シリンジ・カートリッジのいずれもネストに載せたまま扱えます。あるフォーマットから別のフォーマットへの切り替えは、約45分で終わるとされています。
多品種を少量ずつ扱う臨床用ロットや、個別化した医薬品の製造では、フォーマットの切り替えそのものが頻繁に発生します。従来型の充填ラインでは、切り替えのたびに分解洗浄(CIP/SIP)を含む長い停止時間がかかることが珍しくありません。切り替えが45分で終わるなら、1バッチあたりのロットサイズが小さくても、装置を占有する時間の比率を抑えたまま採算を取りやすくなります。
導入で確認したいこと
- 自社の充填量(0.2〜50 mL)とネストの規格(バイアル/シリンジ/カートリッジ)が対応しているか
- フォーマット切替の約45分という数字を、自社の稼働率・ロットサイズと照らして評価したか
- グローブレス設計により、従来のグローブ完全性試験に代わってどんな確認手順が必要になるか
- Grade A/ISO5の要件を、装置単体だけでなく施設全体の環境モニタリング計画とどう整合させるか
※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様の詳細は公式情報をご確認ください。
