米ニュージャージー州プリンストンに拠点を置く細胞治療CDMOの Made Scientific が、9月21日、細胞治療の受託製造を手がける Resilience(National Resilience)から、ペンシルベニア州イーストノリトンにある細胞治療製造施設を取得したと発表しました。取引は9月18日に完了しており、施設の延べ床面積は約8万5000平方フィート(約7,900平方メートル)です。すでに稼働している施設を、既存の製造チームごと引き継いだ点が特徴で、買収の当日から製造を止めずに済む形になっています。
チームごと引き継いだ稼働中の施設
今回の取得により、Made Scientificが米国内に持つGMP拠点は、延べ床面積で約14万5000平方フィート(約1万3500平方メートル)、稼働可能な製造スイートは15室に広がりました。イーストノリトンの施設単体では、グレードB/Cのクリーンルームが8室、グレードCのボールルーム(間仕切りの少ない大部屋型の製造エリア)が1室、グレードBの充填仕上げスイートが1室あり、品質管理・分析用のラボと大型の倉庫も備えています。この施設と製造チームは、自家(オートロガス)・他家(アロジェニック)双方の細胞治療プログラムで、CAR-TやB細胞療法を含む145件のGMPバッチを製造してきた実績を持ちます。工場を一から建てれば試運転や適格性評価だけで何年もかかりますが、稼働中の拠点をチームごと引き継げば、その立ち上げ期間を大きく圧縮できます。約3万平方フィート(約2,800平方メートル)の拡張余地もあるといいます。Made Scientificで会長兼CEOを務めるサイード・T・フセイン氏は、「稼働中の施設と経験豊富な製造チームを手に入れたことは、臨床から商業までクライアントを支援する力の大きな前進です」と述べています(発言は編集部訳)。
Tmunityから続く施設の来歴
イーストノリトンの施設は、2015年にペンシルベニア大学発の細胞治療スタートアップ、Tmunity Therapeuticsが建てた延べ床面積4万7000平方フィート(約4,400平方メートル)の細胞工場が出発点です。CAR-T研究で知られるカール・ジューン氏らが設立した企業で、2023年2月にGilead傘下のKite Pharmaが買収を完了しました。その後この拠点はResilienceの運営下に移り、受託製造拠点として使われてきましたが、Kiteからの移管の詳しい経緯までは今回の発表からは分かりません。Resilienceで社長兼CEOを務めるウィリアム・S・マース氏は、「複雑な医薬品への患者アクセスを広げ、サプライチェーンを混乱から守るという当社の目的を、この1年半かけてあらためて明確にしてきました」と述べ、バイオ医薬品や無菌製剤といった重点分野に運営体制を絞り込む方針を示しています(発言は編集部訳)。Resilienceは近年、複数の製造拠点を閉じて事業領域を絞り込む再編を進めており、今回の施設売却もその一環です。もっとも、取得金額や、Made Scientific側の追加投資計画までは、今回の発表からは分かりません。
細胞治療のCDMO市場では、需要見通しに供給網の整備が追いつかないという声が長く聞かれてきました。一から工場を建てるのではなく、稼働中の拠点をチームごと引き継ぐという選択が、立ち上げにかかる時間を圧縮する動きとして広がっていくのかが問われています。
※ 本ページは公開情報をもとにしたProglenth編集部による整理です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。