BioProfile FLEX2 は、Nova Biomedical が手がける細胞培養向けの総合分析計です。培地のグルコースや乳酸、pH、溶存ガス、電解質に加えて、浸透圧、さらに細胞数と生存率までを、1台で最大16項目まとめて測ります。フルメニューでも検体は275 µL、測定は約4.5分で終わります。
この装置の勘所は、1項目ごとの測定精度ではなく、1回の採取で培養の状態をほぼ丸ごと把握できるという設計の側にあります。
「1検体で16項目」という設計
FLEX2が1回で返す16項目は、性質の違う4つのまとまりから成り立っています。
グルコース・乳酸・グルタミンなどの代謝物と電解質で8項目、pHと溶存二酸化炭素(PCO2)・溶存酸素(PO2)のガスで3項目、総細胞密度・生細胞密度・生存率・細胞径の細胞計測で4項目、それに浸透圧を足して16項目です。従来はこの内訳を、血液ガス分析計・生化学分析計・浸透圧計・セルカウンターという別々の装置で測ってきました。装置ごとに検体を取り分けるので、採取の操作もその回数だけ増えます。
ここに、買うかどうかを左右する数字があります。生存率の測定に特化したBeckman Coulterの Vi-CELL BLU は、生存率を1つ測るだけで170〜200 µL の検体を使います。FLEX2は、その生存率を含む16項目を275 µL でまかないます。灌流培養やambr級の小スケールのように、採取量がそのまま培養を削ってしまう工程では、この差が監視できる頻度を決めてしまいます。価値は個々の測定の目新しさではなく、少ない1検体で培養の全体像を一度に取れることのほうにあります。
メンテナンスフリーのMicroSensorカード
化学とガスの測定には、MicroSensorカードと呼ぶ使い捨てのセンサーカードを使います。
従来の電極式センサーは、校正や膜交換といった日々の保守が欠かせず、担い手の熟練にも結果が左右されました。FLEX2は化学・ガスの11センサーをこのカードに載せ、Novaは保守を不要にしたと説明しています。前世代の BioProfile FLEX と比べると、フルメニューの検体量が275 µL まで約75%下がり、測定時間も約4.5分へ縮みました。どの分析計で培地の代謝物を測るかを選ぶとき、保守費が消耗品の形であらかじめ読める点は、電極式との比較で効いてきます。センサーをカードに移したことは、精度の話というより、止めずに回し続けられるかという稼働の話として効きます。
臨床由来の装置を培養で使うときの確認点
Nova Biomedical は、もともと臨床検査向けの血液ガス分析計を手がけてきた会社です。
血液と培地のように組成の違う検体で同じ測定原理を使うときは、培養液での用途適合性を自分の手で確かめる必要があります。細胞計測はトリパンブルー色素排除法を自動化したもので、ここは自動セルカウントと生存率測定の標準法と原理は変わりません。別の方法で数えているのではなく、専用機の手間と検体を1台に畳んでいると見るほうが実像に近いです。CHO培養の乳酸代謝シフトのように、代謝物の動きから培養の転換点を読む使い方では、オフラインのFLEX2をインラインのPAT監視とどう分担させるかも論点です。1台にまとめられることと、その1台にすべてを委ねてよいことは別で、何を畳み何を残すかを先に決めておく必要があります。
導入で確認したいこと
- 監視したい項目(代謝物・ガス・浸透圧・細胞数など)が16項目に収まるか、別の分析が要るか
- 灌流や小スケールで、1回あたり275 µL の採取が培養に与える影響をどう見るか
- 化学・ガスセンサーをカード化したことで、年間の消耗品費と保守工数がどう変わるか
- 出荷試験に使う場合、各項目の用途適合性(バリデーション)を自社の培養系で確認できるか
- 既存の血液ガス機・浸透圧計・セルカウンターのどれを置き換え、どれを残すか
※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様・数値の詳細は公式情報をご確認ください。
