精製
2026.09.22Merck約6分

Pellicon 3(Merck)――型番が膜と面積を決める

Photo: Julia Koblitz / Unsplash

Pellicon 3 は、⁠タンジェンシャルフローろ過(TFF)の平膜カセットです。液を膜の面に沿って流し、通ったぶんだけ横へ抜くので、行き止まりのろ過より長く回せます。抗体の濃縮とバッファ交換では、この形がいまも標準の位置にあります。

見どころは膜そのものより、⁠型番の読み方にあります。10桁の型番が、膜の種類、MWCO、スクリーン、膜面積の4つをそのまま表しています。

型番の10桁が何を言っているか

P3C030C10 を例にします。

先頭の P3 が Pellicon 3。次の1文字が膜で、C なら再生セルロースの Ultracel、B なら PES の Biomax です。続く3桁が MWCO で、030 なら 30 kDa。その次の1文字がスクリーンで、A・C・D の3種。最後の2桁が面積コードで、00 が 88 cm²、01 が 0.11 m²、05 が 0.57 m²、10 が 1.14 m² を指します。

つまり P3C030C10 は、再生セルロースの 30 kDa 膜、C スクリーン、1.14 m² という意味です。⁠手元のカセットの型番を読めば、装置の記録を見に行かなくても仕様が分かります。

スクリーンは流路の話であって、膜の話ではない

A・C・D の違いは、膜と膜のあいだに挟むメッシュの粗さです。粗いほど流路が開いて圧力損失が小さくなり、細かいほど液がかき混ぜられて膜の表面に層が積もりにくくなります。

粘度の高い液や、濃縮が進んだ終盤では、細かいスクリーンが詰まりの原因になります。逆に、薄い液を速く回したい場面では、粗いスクリーンだと膜の表面が洗われず、流束が落ちます。同じ MWCO・同じ面積でもスクリーンが違えば別の挙動になるので、スケールアップのときはここを揃えます。

運転の上限は、条件とセットでしか意味がない

メーカーが公表している上限は、膜の内と外の圧力差(TMP)で 5.5 bar(80 psig)です。ただしこれは 30 ℃ のときの値で、4〜50 ℃ の範囲まで広げると 2.8 bar(40 psi)に落ちます。入口と出口の圧力差(ΔP)の上限は 1.4 bar(20 psid)。

温度を上げれば粘度が下がって流れやすくなりますが、そのぶん耐えられる圧力は下がります。「何 bar まで」という数字だけを控えても、何℃での話かが抜けると使えません。

導入で確認したいこと

同じホルダーで Biomax に差し替えられるので、膜の化学を後から変える余地は残ります。ただし MWCO の呼び値が同じでも透過の挙動は変わるので、入れ替えは再評価とセットになります。

※ 本ページは公開情報をもとにした紹介です。仕様・型番体系の詳細は公式情報をご確認ください。

主要諸元

形式平膜カセット
MWCO(Ultracel)3 / 5 / 10 / 30 kDa
膜材質再生セルロース(Ultracel)
スクリーンA / C / D
膜面積88 cm² / 0.11 / 0.57 / 1.14 m²
TMP 上限5.5 bar(80 psig、30 ℃)/2.8 bar(40 psi、4〜50 ℃)
ΔP 上限1.4 bar(20 psid)
使用温度4〜50 ℃
使用回数マルチユース

いずれもメーカー公表値です。構成やキットにより異なるため、実際の条件はメーカーの製品ページでご確認ください。

メーカー公式
Merck
製品ページを見る ↗

本ページは各社の公開情報をもとに、Proglenth編集部が整理したものです。仕様・数値はメーカー公表値、発言は発表資料からの引用(英文は編集部訳)であり、本ページは販売・推奨を目的とするものではありません。導入の検討では必ず一次情報とメーカーへの確認を行ってください。編集の考え方は編集方針に記載しています。

この装置が使われる工程

この装置が属するカテゴリ
関連する解説記事
関連する製品ニュース
Newsletter

装置・試薬の新製品ニュースを、メールで

こうした装置の解説と、製造・分析・品質の記事を月数回お届けします。登録は無料で、いつでも解除できます。

登録によりプライバシーポリシーに同意したものとみなします。

← 製品トピックの一覧へ