ベルギーの製薬企業UCBは10月9日、米ジョージア州グウィネット郡に建てるバイオ医薬品の製造キャンパスの予定地で、記念式典を開いたと発表しました。同社にとって米国で初めての製造拠点で、テープカットを開発の次の段階へ進む節目と位置づけています。キャンパスの規模は約46万平方フィート(約4万3,000平方メートル)で、79エーカー(約32ヘクタール)の敷地を使います。約20億ドルの投資計画の一環で、常勤の雇用は約330人を見込みます。稼働の時期と培養槽の規模、製造する品目は公表していません。
米国では委託先頼みだった製造
計画そのものは、2026年3月24日にジョージア州のブライアン・ケンプ知事が発表していました。米Fierce Pharmaによると、UCBは2025年6月に、場所を決めないまま米国で大規模な製造拠点を建てる方針を示していました。最大15か所の候補地を比べ、米国本社と同じアトランタ都市圏を選んでいます。同誌によれば、同社の主要な施設はベルギー、スイス、日本にあり、米国内での生産は主に受託製造企業に頼ってきました。
米国事業を率いるTaco van Tiel氏は同誌に「主要な成長製品については、製造をできるだけ自社で持ちたい。時間がたてば規模の経済も効いてくる」と語っています(発言は編集部訳)。委託か内製かの線を、成長の柱になる品目から自社側へ引き直す考え方です。米国でUCBの製品を受託してきたCDMOにとっては、新工場の稼働に合わせて、品目が順に自社工場へ移っていく可能性がうかがえます。
AIと自動化を前提にした設計
発表によると、新キャンパスは「デジタルファースト」を掲げ、AI、自動化、先端の製造技術を使って複雑なバイオ医薬品をつくります。対象は、承認を得たばかりの品目と今後の品目の商用生産です。Fierce Pharmaは3月に、24時間体制で生産すると報じていました。
一方で、シングルユースかステンレスか、培養槽を何Lの規模で何基置くかは明らかにしていません。どの品目をいつ委託先から移すかも示していません。移す品目が決まれば、委託先からの技術移管と、新しい製造所としての承認の手続きが要ります。
金額の大きさは、売上高と比べるとわかります。同社の2025年の売上高は77億ユーロで、Fierce Pharmaの換算では87億ドルでした。約20億ドルは、その2割強に当たります。米国内に自社の工場を建てる動きは、BMSのヒューストンの多品目工場などにも見られます。
米国内での生産を委託先に頼ってきたUCBが、自社の工場を持つ。同社は売上高の2割強に当たる額をこの切り替えに投じ、10月の式典で建設の次の段階に入りました。培養の規模と稼働の時期は、まだ明かしていません。
※ 本ページは2026年10月9日のUCBの発表と、2026年3月のジョージア州知事室の発表、Fierce Pharmaの報道をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。