FDAは10月30日、プラスミドDNAを使う免疫療法「Voceryq」を再発性呼吸器パピローマ症(RRP)の成人向けに迅速承認(accelerated approval)した。プラスミドDNAを原薬とする免疫療法の承認は米国で初で、承認先はInovio Pharmaceuticalsである。手術回数という中間臨床エンドポイントに基づく承認のため、市販後の確認試験が条件に付く。
原薬は大腸菌発酵由来の2本のプラスミド
2つの有効成分は、それぞれのプラスミドを持つ遺伝子組換え大腸菌(E. coli)の発酵でつくる。培地にはカナマイシンを使うが、添付文書は工程で除かれ最終製剤では検出されないとしている。プラスミドDNAの製造では、選択マーカーの抗生物質の残留が規格の論点になる。
製剤はAlliance Medical Products Inc. dba Siegfried(AMP)のカリフォルニア州Irvine工場で製造する。ガラスカートリッジ1本に doruxapapogene ralaplasmid 6 mg と lalikinogene sifuplasmid 0.25 mg を含み、濃度は6.25 mg/mL、液量は1 mLの保存剤無添加の溶液である。有効期間は2〜8℃で製造日から36か月、起算日は無菌充填日とされる。
分析法の追加試験はIL-12とHPV11、受入基準は市販後に再評価
市販後の約束事項には、IL-12のバイオアッセイとHPV11の試験という2つの分析法が挙がっている。Inovioはこの2つについて、ICH Q2(R1)の第2節に沿った直線性の追加試験を2027年6月30日までに提出するとしている。HPV11の試験では、抗体のロットなど検出系の条件を振った頑健性の評価も同じ期限で提出する。力価試験とプラスミド量の受入基準も追加の製造ロットで再評価し、2031年10月31日までに報告することになっている。
出荷はロットごとにFDAの通知が要る。出荷試験の結果をCBER(生物製剤評価研究センター)に提出し、CBER所長の出荷通知を受けるまで流通させられない。
エレクトロポレーション装置を使う組み合わせ製品としての扱い
投与は専用装置CELLECTRA 5PSPで行う。1 mLを筋肉内に注射したうえで装置がエレクトロポレーションをかけ、3週間おきに計4回投与する。装置はInovioのカリフォルニア州San Diego拠点で製造・表示・包装し、アレイの有効期間はデバイス製造日から12か月である。
組み合わせ製品のデバイス構成部分は、UDI(医療機器固有識別子)の表示とGUDID(医療機器の固有識別データベース)への登録の対象になりうる。同社はさらに、ガラスカートリッジの容器密封性試験(CCIT)の報告を2027年4月30日まで、針刺し防止機構の設計検証・バリデーション(V&V)の報告を2027年6月30日までに提出するとしており、装置の改良が要るなら2027年12月30日までに事前承認補足申請として出す。
実務の確認ポイントプラスミドDNAを原薬とする品目における留意点
まず見るのは、有効成分ごとの規格の立て方だ。ICH Q6Bに沿って規格を組むなら、分析法の直線性と頑健性の裏付けをどこまでそろえるかを見ておきたい。スーパーコイル含量(ccc%)、残存宿主DNA、エンドトキシンの規格は、受託先との取り決めで確かめる項目になる。
有効期間の起算日が無菌充填日である点は、発酵・精製から充填までの日程に効く。カートンを冷蔵庫から出してから24時間以内、カートンから出したカートリッジは8時間以内という制限も運用に入る。市販後の確認試験は、成人と小児を合わせて50例以上を組み入れ、治療後3年以上の手術回数を見ることをFDAが求めており、完了期限は2031年12月30日だ。FDAは細胞・遺伝子治療のCMC柔軟化も最終ガイダンス化している。
※ 本ページは2026年10月30日のFDAの発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。