積水メディカルとナード研究所は11月4日、医薬品開発における創薬業界の課題解決支援を目的として協業体制を構築したと発表した。両社は連携し、医薬品候補化合物の合成から非臨床試験の実施・データ解析までをワンストップかつシームレスに提供するとしている。互いの強みと経験・実績を活かし、創薬業界の課題解決を支援する取り組みと、両社は位置づけている。
合成から非臨床試験・データ解析までの連携体制
両社が連携して提供するのは、医薬品候補化合物の合成から非臨床試験の実施・データ解析までだ。低分子原薬の製造を伴う開発で、合成法の開発と試験用原薬の供給を受託合成の会社に、毒性試験や薬物動態試験をCROに分けて委託すると、原薬の引き渡しと試験計画の調整は委託者側が担うことになる。
背景として両社が挙げたのは、新規モダリティの登場と研究開発の高度化による開発プロセスの複雑化だ。合成から非臨床試験、データ解析までに多様な専門技術が必要となるため、各開発工程を円滑につなぎ、迅速かつ効率的に研究開発を進められる体制が求められていると両社は説明している。
ナード研究所が合成とプロセス開発、積水メディカルが非臨床・臨床試験
ナード研究所のライフサイエンス研究部が受託するのは、医薬品候補化合物の合成法開発・合成と、製造プロセス開発・製造だ。同社は受託合成を中心に医薬品・化学材料・ファインケミカルの研究開発を支援しており、創薬領域では化合物デザインや誘導体展開によるリード化合物の創出支援から、開発候補化合物のプロセス検討、パイロット製造までを扱うとしている。本社は兵庫県尼崎市。
積水メディカルの創薬支援事業は、医薬品開発の探索から申請、市販後調査までの各ステージで非臨床・臨床試験を受託している。同社は検査事業と医療事業を柱とし、医療事業は医薬・酵素事業と創薬支援事業の2つで構成される。本社は東京都中央区。
連携した委託で確かめる、原薬のロットと不純物プロファイル
連携した委託で実務に効いてくるのは、非臨床試験に使う原薬をどのロットで作り、どう引き継ぐかだ。非臨床の毒性試験は、標的臓器と用量・曝露との関係を調べ、ヒトでの初回投与量と用量範囲、臨床で見張る項目を決めるために行う。GLPに従う試験では、被験物質の特性と安定性を測定して適切に管理することが求められる(GLP省令第13条第1項)。
合成ルートを変えたりスケールを上げたりすると、類縁物質の種類と量は動く。ICH Q3Aの安全性確認(qualification)の閾値を超えた場合は、水準を閾値以下に下げるか、文献や過去の安全性試験での実投与量で説明するか、追加の安全性試験を行うかを選ぶことになる。
実務の確認ポイントワンストップでの委託における留意点
最初に確かめるのは契約の形だ。どちらが主契約者となり他方が再委託先となるのか、委託者が両社とそれぞれ契約するのかで、仕様変更や逸脱が起きたときの連絡経路と責任の範囲が変わる。2社をまたぐため、秘密保持の範囲と、合成法や不純物に関する知財の帰属も取り決めの対象になる。
試験側で見ておく項目は、GLPに従う必要がある試験の範囲、被験物質の規格と分析法の引き継ぎ、原薬のロット番号と保存条件、スケールアップ前後の不純物プロファイルの比較だ。データの受け渡しについては、報告書の様式、生データの保管場所と保管期間、査察や当局の照会にどちらが対応するのかまで確認しておきたい。探索から製造・試験までを一つの体制で受ける動きとしては、10月にもAragen Life Sciencesが高薬理活性原薬の一貫拠点「OneHP」の稼働を発表している。
※ 本ページは2026年11月4日の積水メディカル・ナード研究所の発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。