Freseniusは11月2日、バイオ医薬品の研究・開発・製造受託のWuXi Biologicsと、先発参入を狙う最大37のバイオシミラー候補を対象とする独占的な開発契約を結んだと発表した。承認品と開発中を合わせて29分子の現行ポートフォリオを、今後10年で最大66分子に広げる構想だ。同社は、バイオシミラー業界で発表された開発契約のうち最大のものとしている。
独占は37候補の開発オプション
独占の範囲は、特定された37のバイオシミラー候補の開発オプションにある。Freseniusは市場の魅力度・開発リスク・期待収益という自社の選定基準で候補ごとに行使し、選んだ候補ごとにWuXi Biologicsへ受託料(フィー・フォー・サービス)を払う。開発はWuXi Biologicsの世界の拠点網を使う見込みで、同社の拠点は欧州・米国・中国・シンガポールに及ぶ。
長期の製造戦略は、候補ごとにFreseniusが決める。10月に完全子会社化したmAbxienceの製造網へ、選んだ品目を段階的に移す選択肢も示す。製造販売承認(marketing authorization)の保有を含む全世界の独占的な商業化権と、商業化した品目の収益は、すべてFreseniusが持つ。
13の治療領域に広がり、最初の2品目はADCと抗体
対象は13の治療領域にまたがる見込みで、既存のオンコロジー・免疫・消化器に神経、腎臓、循環器・呼吸器を加える。技術はモノクローナル抗体、二重特異性抗体、ADC(抗体薬物複合体)、融合タンパク質を含む。
最初の開発はpolatuzumab vedotinとteprotumumabに向ける見込みだ。前者はCD79bを標的とするADCで、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に使われる。後者はIGF-1Rに対するモノクローナル抗体で、甲状腺眼症が対象だ。
研究開発費の増え方は、行使したオプションの数次第
37は上限で、実際に開発へ進む候補の数は今後のオプション行使で決まる。Freseniusは2026年通期の見通しと、2025年12月に示したBiopharma事業の2030年目標を据え置き、今回の契約はその外側に積み増すものと位置づけている。契約は営業キャッシュフローで賄い、新たな資金調達は要らないとした。
実務の確認ポイント候補ごとの委託における留意点
契約の規模は大きくても、確かめる単位は品目ごとだ。細胞株構築が受託先で行われる場合、MCB/WCB(マスター/ワーキングセルバンク)の作製・保管場所と由来の記録が、のちの技術移転で確かめる範囲に関わる。原薬(DS)と製剤(DP)の製造所は品目ごとに分かれることがあり、申請書に記載した製造所を後で替えるときは変更管理の対象になる。
同等性・類似性の示し方は2つに分かれる。先行品との品質特性と機能の比較はバイオシミラーの申請で求められる比較で、開発の途中で製法や製造所を変えた場合の比較はICH Q5Eの同等性/同質性評価にあたり、mAbxienceへ移す品目では移管時にこれが加わる。製造販売承認を保有するのはFreseniusであるため、地域ごとの手続きと変更の届け出も同社側に寄る。
資材や受託の発注が動くのは、候補が選ばれて開発が始まってからだ。ADCが先に来る品目では、抗体の培地・レジンに加えてリンカーとペイロード、封じ込め設備の枠も要る。
原薬の製造を1拠点に集めると、査察や設備の停止の影響が複数品目に同時に及ぶため、代替の製造所を置くか移管先を先に決めるかは委託側の判断になる。数年先の生産枠を押さえる契約が一般的な領域では、選定の時期が交渉の材料だ。Freseniusは10月1日にmAbxienceの残り45%の取得を発表している。
※ 本ページは2026年11月2日のFreseniusの発表をもとにした紹介です。詳細・数値は一次情報もあわせてご確認ください。