核酸医薬(アンチセンス核酸)の工程チェックリスト
検討する工程に印を付けて、規模と用途を書けば、仕様メモにして代理店やメーカーへ渡せます。工程ごとの詳しい説明は工程マップにあります。
2規模と用途
3検討する工程に印を付ける16 / 16 工程
合成・反応
1担体ローディング
担体への初発ヌクレオシド結合の均一さと適量が、以降の収率と純度を決める起点の工程。
- 基準の方法
- 3'末端ヌクレオシドを結合済みのプレローディド担体
- ほかの方法
- ユニバーサルリンカー担体(配列末端非依存)・CPG(コントロールドポアガラス)担体
2固相合成サイクル/エロンゲーション
塩基を1つずつ伸ばす中核で、カップリング効率99%台後半でないと欠損配列が積み上がり純度が落ちる。
- 基準の方法
- ホスホロアミダイト法による自動固相合成
- 装置
- オリゴ核酸合成機
- ほかの方法
- 硫化剤の選択(DDTT vs PADS vs EDITH)・活性化剤の選択(BTT/ETT/DCI)・バッチ式(撹拌槽)合成
3クリベージ・脱保護
担体切り出しと全保護基の除去で本来構造に戻す工程。外し残しや脱アミノ化が不純物となる。
- 基準の方法
- アンモニア水またはAMA
- 試薬・資材
- オリゴ脱保護試薬(アンモニア・フッ化物)
- ほかの方法
- 濃アンモニア水単独(高温・長時間)・RNA系のフッ化物脱シリル化(TEA·3HF)
精製
4分取精製・キャプチャー
全長鎖だけを取り出し、n-1欠損やn+1付加・未脱トリチル体を落とす純度規格達成の鍵。
- 基準の方法
- 分取陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィー、または5'-DMT-on逆相精製
- 代表的なメーカー
- CytivaSartoriusPhenomenex
- ほかの方法
- 膜(メンブレン)イオン交換クロマトグラフィー・逆相とAEXの直交2段精製
5脱塩・バッファー交換
IEX溶出は高塩・希薄なので凍結乾燥前に塩と低分子不純物を除く必須工程
- 基準の方法
- サイズ排除クロマトグラフィー(ゲルろ過)による脱塩・バッファー交換
- 試薬・資材
- 分取SECクロマト担体(メディア)
- ほかの方法
- 限外ろ過/透析ろ過(TFF)による脱塩・濃縮・エタノール沈殿による脱塩・濃縮
6デトリチル化・最終脱DMT
RP系DMT-on精製で残るDMT基を酸で外し本来の5'-OH原薬にするため
- 基準の方法
- 精製プール(DMT-on品)への酢酸/TCA水溶液添加による酸性脱トリチル化と中和
- 試薬・資材
- 中和バッファ(pH中和液)
- ほかの方法
- 陽イオン交換樹脂による脱トリチル化/処理・カラム上脱トリチル化(オンカラム酸洗)
製剤・充填
7UF/DF・限外ろ過
精製塩を除き溶媒交換と濃縮を行い、最終のナトリウム対イオン量と塩濃度を作り込む工程。
- 基準の方法
- 接線流ろ過(TFF)によるUF/DF(脱塩・対イオン交換・濃縮)
- ほかの方法
- サイズ排除(脱塩)クロマトグラフィー・エタノール沈殿
8無菌ろ過・最終ろ過
充填直前に0.22µm膜で薬液を無菌化しバイオバーデンを排除する必須工程
- 基準の方法
- 0.22µm PVDF/PESメンブレンによる無菌ろ過(フィルター完全性試験付き)
- 試薬・資材
- メンブレンフィルター(清澄化・除粒子)
- 代表的なメーカー
- MerckSartoriusMerck Millipore
- ほかの方法
- 0.22 µm PES カプセルフィルターによる無菌ろ過・冗長2連(0.45+0.22 µm)除菌ろ過
9フィル&フィニッシュ
原薬を凍結乾燥固体に、製剤を無菌ろ過・充填し、安定に保存・出荷できる形へ仕上げる工程。
- 基準の方法
- 凍結乾燥による原薬固体化、製剤は0.2µm無菌ろ過後に無菌充填
- 試薬・資材
- 添加剤・安定化剤(製剤用エクシピエント)
- ほかの方法
- 液剤(凍結乾燥なし)製剤化・GalNAc 等の送達コンジュゲート工程を追加
品質特性・分析
10純度・近縁不純物試験
欠損・付加・酸化体など近縁不純物を定量し純度規格適合を判定する最重要試験。
- 基準の方法
- イオンペア逆相HPLC-MS(IP-RP-LC-MS、UVとMSの併用)
- ほかの方法
- 陰イオン交換 HPLC(UV 検出)・キャピラリーゲル電気泳動(CGE)・IP-HILIC(イオンペア親水性相互作用)
11同定・確認試験
正確質量とMS/MS配列確認で、作ったものが狙った配列・分子量かを証明する同定試験。
- 基準の方法
- 高分解能LC-MSによる正確質量測定+MS/MSによる配列確認
- ほかの方法
- UV 吸収スペクトル・モル吸光係数による同定補助・ハイブリダイゼーション/酵素消化+MS による配列確認
12含量・アッセイ試験
260nm吸光で有効成分量を高精度に算出し、1バイアルの含量と投与量の正確性を決める試験。
- 基準の方法
- UV吸光度
- ほかの方法
- qNMR(定量 NMR)・含量=純度×総量の算出
13対イオン含量試験
陰電荷オリゴに結合する陽イオン量を測り、塩形態・物性と含量補正・投与量計算に効く試験。
- 基準の方法
- ICP-MSまたはICP-OESによる金属対イオン定量
- 試薬・資材
- 硝酸(超高純度、Merck Suprapur/Honeywell TraceSELECT)による希釈・前処理、金属標準液(Merck/Agilent 認証標準、Na・K・Mg・Ca 等)。
- ほかの方法
- イオンクロマトグラフィー(IC)・原子吸光分光(AAS)
14残留溶媒試験
アセトニトリル等の残留有機溶媒を定量し、ICH Q3Cの安全性閾値内であることを確認する試験。
- 基準の方法
- ヘッドスペースGCまたはGC-MSによる揮発性残留溶媒定量
- 試薬・資材
- 内部標準・残留溶媒標準(ICH Q3C クラス2/3 混合標準、Merck/Restek)、ヘッドスペースバイアル(20 mL クリンプ/PTFE/シリコンセプタム、Agilent/Restek)、希釈溶媒 DMSO/DMAc/水。
- ほかの方法
- 直接注入 GC・NMR による残留溶媒スクリーニング
15無菌・エンドトキシン試験
注射投与のためエンドトキシンと微生物汚染がないことを保証する患者安全直結の必須試験。
- 基準の方法
- LAL(リムルス試験)によるエンドトキシン定量、USP <85>準拠
- 試薬・資材
- LAL 試薬(Charles River Endosafe/Lonza Kinetic-QCL 発色基質、Limulus アメボサイト溶解物)、CSE(管理標準エンドトキシン)、無菌培地(TSB/FTM、Merck/BD)。
- ほかの方法
- 組換えファクター C(rFC)法・メンブレンフィルター法無菌試験
16一般物性試験
外観・pH・浸透圧・水分を確認し、析出や変色、規格外pH/浸透圧がないかを保証する物性試験。
- 基準の方法
- 目視外観検査、pH測定、浸透圧測定、カールフィッシャー水分測定
- 試薬・資材
- pH 標準液(NIST トレーサブル、Mettler Toledo/Merck)、カールフィッシャー試薬(Merck Aquastar/Honeywell Hydranal、容量滴定剤・電量陽極/陰極液)、浸透圧標準液。
- ほかの方法
- 自動微粒子(不溶性異物)検査・乾燥減量(LOD)による水分代替
16工程を選んでいます。仕様メモでは、宛先・条件・確認したいことを書き足して、PDF やメールで渡せます。
選んだ16工程で仕様メモを作る公開情報にもとづく一般的な整理です。基準の方法とメーカーは代表例で、推薦ではありません。実際に要る工程と装置は、規模と規制の方針で変わります。