核酸医薬(siRNA)の工程チェックリスト
検討する工程に印を付けて、規模と用途を書けば、仕様メモにして代理店やメーカーへ渡せます。工程ごとの詳しい説明は工程マップにあります。
2規模と用途
3検討する工程に印を付ける17 / 17 工程
合成・反応
1固相合成・チェーンアセンブリ
1サイクルの結合効率の僅差が20塩基では全長品収率を大きく左右する工程。
- 基準の方法
- 固相ホスホロアミダイト法
- 装置
- オリゴ核酸合成機
- ほかの方法
- 2'-O-TOM保護アミダイト合成・溶液相/ブロックマー(液相)合成・5'-DMT-on合成
2開裂・脱保護
担体から鎖を切り出し保護基を外すが、条件が強すぎるとRNAが分解する工程。
- 基準の方法
- アンモニア水またはアンモニア/メチルアミン(AMA)による開裂・塩基脱保護
- 試薬・資材
- オリゴ脱保護試薬(アンモニア・フッ化物)
- 代表的なメーカー
- MerckHoneywellSigma-AldrichPfaudlerDe Dietrich
- ほかの方法
- アンモニア水単独・長時間/低温・K2CO3/メタノール穏和開裂
3脱シリル化/2'脱保護
RNA特有の2'保護を外して正配列・正質量を確定する、分解しやすい律速工程。
- 基準の方法
- トリエチルアミン三フッ化水素酸塩(TEA·3HF)による脱シリル化
- 代表的なメーカー
- MerckSigma-Aldrich
- ほかの方法
- TBAF/THF脱シリル化・フッ化水素ピリジン/NMP系
精製
4分取精製・キャプチャー〜ポリッシング
必ず混じるn±1鎖や脱保護不全鎖から目的の全長鎖だけを取り出す工程。
- 基準の方法
- イオンペア逆相HPLC(IP-RP)または強陰イオン交換(SAX/AEX)による分取クロマトグラフィー
- ほかの方法
- DMT-on逆相分取精製・混合モード(RP+IEX)HPLC・分取CGE/ゲルろ過
5脱トリチル・DMT除去
DMT-on精製後は5'保護基が残存し、酸処理で除去しないと最終構造が得られないため
- 基準の方法
- DMT-on精製画分を酢酸でpH3.5±0.2に調整し脱トリチル化
- 試薬・資材
- 注射用水(WFI)・精製水製造装置
- ほかの方法
- 陽イオン交換樹脂を用いた脱トリチル化・IEX精製一体型ワンステップ・オンカラム脱トリチル
6脱塩・緩衝液交換(UF/DF)
イオンペア試薬や塩を除きNa塩・適濃度に整え、下流の凍乾・試験を正確化する工程。
- 基準の方法
- 限外ろ過/ダイアフィルトレーション(UF/DF)、またはサイズ排除/逆相による脱塩とナトリウム塩への対イオン交換
- ほかの方法
- エタノール沈殿による脱塩・サイズ排除/逆相カートリッジ脱塩
7バイオバーデン低減ろ過・最終ろ過
オリゴ原薬は無菌製剤の原料となるため水溶液工程でバイオバーデン低減ろ過による低バイオバーデン化が必須
- 基準の方法
- UF/DF後の原薬溶液を0.22µm滅菌グレードPVDF/PESメンブレンでろ過し、凍結乾燥/単離前のバイオバーデンを低減(バイオバーデン低減ろ過)
- ほかの方法
- Sartopore 2 (PES二層)0.2 µm滅菌グレードろ過・Supor/Fluorodyne 0.2 µm滅菌グレード膜
製剤・充填
8アニーリング・二本鎖形成
等モルで2本鎖を組み立て、比率ずれによる一本鎖過剰と効力低下を防ぐ工程。
- 基準の方法
- 等モル混合→加熱変性→徐冷アニーリング
- 試薬・資材
- 注射用水(WFI)・精製水製造装置
- ほかの方法
- オンカラムアニーリング・スケール最適化バッチアニーリング
9コンジュゲーション・GalNAc結合体化
肝細胞のASGPRに結びつくGalNAc糖鎖を導入し取り込みを高める工程。
- 基準の方法
- 固相合成中にGalNAcリガンドを一体合成(プレコンジュゲート担体/GalNAcアミダイト)、またはアミン等を導入した一本鎖に、活性エステル(NHS)化GalNAcクラスターを溶液中で後結合(post-synthetic conjugation)
- 代表的なメーカー
- CytivaGlen ResearchChemGenes
- ほかの方法
- 溶液相での後結合・クリックケミストリーによるモジュラー結合
10凍結乾燥・原薬単離
水中で分解しやすいRNAを粉末化し、保存・出荷できる安定な原薬形にする工程。
- 基準の方法
- 凍結乾燥(凍結→一次乾燥→二次乾燥)による原薬単離
- ほかの方法
- スプレー乾燥・沈殿+減圧乾燥
品質特性・分析
11同定・質量確認(LC-MS)
分子量から1塩基差や修飾の有無まで確認し、目的siRNAであることを保証する工程。
- 基準の方法
- LC-ESI-MS(高分解能)によるインタクト質量確認+デコンボリューション、必要に応じMS/MS配列確認
- ほかの方法
- MALDI-TOF MS・オリゴマッピング(部分分解+MS/MS)
12純度試験・不純物プロファイル
全長品%とn±1不純物量を測る、効力と安全性に直結する最重要の品質指標。
- 基準の方法
- イオンペア逆相HPLC(UV、必要時MS連結)または陰イオン交換HPLCによる純度試験
- ほかの方法
- キャピラリーゲル電気泳動(CGE)・混合モードHPLC(RP+IEX一体)・非変性IP-RPによる二本鎖純度
13二本鎖含量・アニーリング確認
二本鎖が正しく組成したか、余剰一本鎖の割合を測り効力低下を見る工程。
- 基準の方法
- 非変性IP-RP/SEC-HPLCによる二本鎖含量定量+UV-Vis吸光度/Tm(融解温度)解析
- ほかの方法
- サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)・DSC/円二色性(CD)
14含量・力価(UV定量)
目的物の正味量を定量し、投与量設計と出荷判定の核となる値を出す工程。
- 基準の方法
- 紫外吸光度(260 nm)によるオリゴ含量定量(消光係数換算)
- 試薬・資材
- 注射用水(WFI)・精製水製造装置
- 代表的なメーカー
- Thermo FisherAgilent
- ほかの方法
- 定量NMR(qNMR)/リン定量・重量法(乾燥固形分)
15元素不純物・残留溶媒・対イオン試験
対イオン量と残留金属・溶媒を測り、安全性と正味含量の正確さを担保する工程。
- 基準の方法
- 対イオン・元素不純物はICP-MS/ICP-OES、残留溶媒はヘッドスペースGC
- 代表的なメーカー
- MerckAgilentPerkinElmerBruker
- ほかの方法
- イオンクロマトグラフィーによる対イオン定量・NMRによる残留溶媒スクリーニング
16無菌・エンドトキシン試験
注射剤として発熱性エンドトキシンや微生物を基準以下と確認する出荷必須項目。
- 基準の方法
- 細菌内毒素試験(LAL/組換えカブトガニ因子)、バイオバーデン(微生物限度)、無菌試験(該当時)
- ほかの方法
- 組換えファクターC(rFC)法・迅速微生物試験(RMM)
17原薬安定性・分解物管理
経時的な分解・脱修飾を追い、有効期間と保存条件を決める根拠を得る工程。
- 基準の方法
- ICH Q1A準拠の長期・加速安定性試験(純度・含量・分解物を経時測定)
- ほかの方法
- 強制分解試験(酸/塩基/酸化/光/熱)・CGEによる安定性モニタリング
17工程を選んでいます。仕様メモでは、宛先・条件・確認したいことを書き足して、PDF やメールで渡せます。
選んだ17工程で仕様メモを作る公開情報にもとづく一般的な整理です。基準の方法とメーカーは代表例で、推薦ではありません。実際に要る工程と装置は、規模と規制の方針で変わります。