原因の分からない問題が起きている8項目のうち7番目

凝集や不純物が増えた

どの工程で増えたかを、前後の値で突き止める

いつまでに
影響を受けるロットの出荷を判断する前(原因が工程にあるなら、次のバッチの前)
関わる人
分析、プロセス開発(精製・製剤)、品質保証

この項目で確かめること7項目

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終えたときに手元にあるもの工程ごとの前後の値(凝集体・断片・HCPなど)を並べた表、増えた工程と条件、測り方の妥当性の確認、対策と影響を受けるロットの範囲

なぜ必要か

どの工程で増えたかが分からないまま除く工程を強めても、収率が下がるだけで、同じ増加がくり返されるからです。凝集体は免疫反応の危険因子とされ、HCPの中の脂質を分解する酵素は、ごく微量でも保存中に界面活性剤を分解して粒子を生みます。

見落としやすいこと

  • HCPの総量を測るELISAでは、特定の1種類が実際より少なく数えられることがあります。治験薬に残ったハムスター由来のPLBL2が、その例です。
  • Tmが高い候補でも、高濃度では分子どうしが寄り合って凝集することがあります。Tmが示すのは、1分子がほどけにくいことだけです。
  • HCPのELISAのキットを替えると、数字を地続きで比べられなくなることがあります。
  • 2016年の報告では、100万分の1にも届かない量の酵素で、ポリソルベートの分解が起きていました。

進め方

  1. 工程ごとの前後の値を並べ、増えた工程を特定します。

  2. 測り方の限界(SECの回収率、ELISAのカバー率)を確かめ、原理の違う方法で裏づけます。

  3. 増えた工程の条件(pH・時間・圧・温度・触れる器具)と、原料や資材の変更の時期を照らします。

  4. ホールドタイム試験や小さなスケールで条件を振り、増えない運転域を決めます。

  5. 影響を受けるロットの範囲を決め、出荷の判断と、必要ならCAPAと変更管理に進みます。

判断の分かれ目

こういうときこうする

こういうとき増えた場面が酸の保持や中間の置き時間のとき

こうするホールドタイム試験で、置ける時間の上限を決め直します。

こういうときSECの値は変わらないのに粒子が増えたとき

こうするµmの粒子は別枠のため、光遮蔽法やフローイメージングで測り、輸送の揺れ、シリコーン油、ポンプのような界面を疑います。

こういうとき除く工程を強めて対応したいとき

こうする除くほど収率が下がり、後ろの工程の負荷も増えるため、先に増える場面を減らす余地を検討します。

こういうときHCPの総量は低いのに、製剤のポリソルベートが減っていくとき

こうする脂質を分解する酵素のような個別のHCPを、LC-MSで探します。

自社でできるか、外に出すか

外に出すとき、先に相手に確かめること

  1. 工程の各段階の試料を、同じ分析法・同じ試験室でまとめて測れるか
  2. SECの回収率と、AUCやCE-SDSのような原理の違う方法での裏づけを出せるか
  3. HCPのELISAのカバー率の記録があり、LC-MSで個別のHCPを同定できるか
  4. 生データと監査証跡を、どの形で受け取れるか

読んで確かめる5本

まずこれ約5分

抗体の凝集体は工程のどこで増えるのか?除くだけでは足りない理由

抗体の凝集体は、酸に置く・濃くする・凍らせる・表面に触れるという4つの場面で増えます。凝集体ができる2つの道、工程のどこで増えるのか、仕上げの精製で除くだけでは足りない理由、場面ごとに何を変えると増え方が変わるのかを説明します。

約4分

製品由来不純物と工程由来不純物とは?数字が小さければ安心と言えるのか

製品由来不純物は抗体そのものが形を変えたもの、工程由来不純物は細胞や資材から持ち込まれたものです。総量の数字が小さくても安心できない理由、2つを何で見分けて測るか、手元の報告書で何から確かめるかを解説します。

約5分

凝集体の分析法とは?SECの数字だけではなぜ足りないのか

凝集体の分析法とは、抗体医薬の分子がくっついた塊の量を測る方法です。なぜ量を管理するのか、規格試験で使うSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)の%は何を数えているのか、そこに出ない凝集体をどの方法で確かめるのか、成績書で何から見るのかを説明します。

約4分

ポリソルベートとは?抗体を守る界面活性剤が、なぜ粒子のもとになるのか

ポリソルベートとは、抗体医薬の製剤にごく少量加え、界面での凝集を防ぐ界面活性剤です。入れれば安定とは限らない理由(加水分解と酸化)、2つの分解を何で見分けるか、自分の製剤で何から確かめるかを解説します。

このテーマを順に学ぶ

抗体の凝集と粒子全9回・約49分

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この項目の記事は第7回「抗体の凝集体は工程のどこで増えるのか?除くだけでは足りない理由」です。

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