創薬候補を選んでいる10項目のうち7番目

毒性試験に使える動物種を確かめる

標的に結合し、人と同じように働く動物がいるかを見る

いつまでに
候補を1つに絞る前(遅くとも GLP の毒性試験の計画を立てる前)
関わる人
研究、DMPK、安全性

この項目で確かめること6項目

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終えたときに手元にあるもの候補ごとに、動物種別の標的の配列の一致度・結合の強さ・細胞での活性・代謝の比較を並べた動物種選定の根拠

なぜ必要か

非臨床の毒性試験は、動物でも薬理作用が出なければ人の予測にならないからです。関連動物種がいないと分かるのが候補を決めたあとだと、動物用の代替の分子や遺伝子改変動物を作るところから始めることになり、非臨床の日程が大きく延びます。

見落としやすいこと

  • 抗体では標的に反応する動物がサルしかいないことが多く、標的に結合しない動物で何も起きなかった結果から、人の安全は読めません。
  • 標的に結合する動物でも、効く細胞の性質が人と違えば、人で起きる反応は動物で見えません(TGN1412 ではサルの T細胞が人と違っていました)。
  • ふつうのマウスの FcRn は人の抗体を人とは違う強さでつかむため、Fc を改変した抗体の半減期は、人の FcRn を持つマウスかサルで測ります。
  • ラットとイヌで吸収が良かった低分子が、人に特有の代謝(アルデヒドオキシダーゼ)で血中濃度が極端に低くなり、開発が中断された例があります。

進め方

  1. 候補の動物の標的の配列を集め、人との一致度を比べます。

  2. 動物の標的への結合と、動物の細胞での働きを、人と同じ条件で測ります。

  3. 低分子は動物と人の代謝を比べ、抗体は組織での結合分布を比べます。

  4. 関連動物種が2種か1種か、いないかを決め、根拠を書きます。

  5. いない場合は、代替の分子か遺伝子改変動物で評価する計画と期間を、候補選びの判断に含めます。

判断の分かれ目

こういうときこうする

こういうとき関連動物種が1種しかないとき(抗体)

こうする1種で試験を組む根拠を計画に書きます。効かない動物を足して2種にそろえることはしません(ICH S6(R1))。

こういうときどの動物にも薬理作用が出ないとき

こうする動物の標的に合わせた代替の分子か、人の標的を入れた遺伝子改変動物で評価する計画を立て、その期間を見込んで候補を選びます。

こういうとき人で多い代謝物を動物が作らないとき(低分子)

こうするその代謝物をよく作る動物種を選ぶか、代謝物そのものを合成して試験する道を検討します。

自社でできるか、外に出すか

結合と細胞での働きの比較は自社でも行えます。組織の染色や代謝物の比較は、非臨床の受託企業に出すのが一般的です。

外に出すとき、先に相手に確かめること

  1. 動物の標的タンパク質や動物の細胞を用意し、人と同じ条件で測れるか
  2. 人と動物の組織を同じ条件で染めて比べられるか
  3. 動物と人の肝細胞で代謝物を比べる試験を組めるか
  4. 関連動物種の根拠を、当局への説明に使える形の報告書にできるか

読んで確かめる5本

まずこれ約6分

ICH S6(R1)とは?抗体医薬の毒性試験が低分子と違う理由

抗体医薬の毒性試験は、低分子のようにラットとイヌの2種では組みません。薬が効く動物が限られ、毒性は標的への作用の延長で出るからです。ICH S6(R1)で変わる動物種、免疫原性、初回投与量と、FDAが2025年に示したサル試験の見直し案を解説します。

詳しく分かる項目:標的の配列・動物の標的への結合

約5分

代謝物同定(MetID)とMIST:ヒトにだけ多い代謝物の見つけ方

動物で安全性を確かめた薬が、ヒトで未検証の代謝物を大量に作ることがあります。代謝物同定(MetID)の進め方、反応性代謝物の受け止め方、MISTの10%ルールと放射標識ADME試験の時期、依頼時に確かめる点を解説します。

詳しく分かる項目:代謝の種差(低分子)

約5分

抗体の半減期はなぜ長い?少ない量で打つと速く消えるのはなぜか

抗体が数週間も血中に残るのは、FcRn(新生児Fc受容体)が分解の手前で拾い戻すからです。少ない量ほど速く消えるのは、標的に結合した抗体が標的ごと分解されるTMDDが働くからです。2つの仕組みと、動物のPKデータの読み方、PKの報告書で確かめる順番を説明します。

約5分

アロメトリックスケーリングとは?動物から人のPKを予測できる薬

アロメトリックスケーリングとは、何種類かの動物で測った薬の消え方を体重に沿って並べ、人の値を見積もる方法です。人の何を見積もるのか、なぜ体重の線で読めるのか、肝臓で分解される薬が外れる理由と確かめ方を、計算式なしで説明します。

このテーマを順に学ぶ

非臨床安全性試験の組み立て全11回・約65分

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この項目の記事は第9回「ICH S6(R1)とは?抗体医薬の毒性試験が低分子と違う理由」です。

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