創薬候補を選んでいる10項目のうち3番目

スクリーニングの系を組む

当たりと外れを見分けられる評価系を作り、候補を拾う

いつまでに
化合物ライブラリーや抗体のクローンを本番で流す前
関わる人
研究(アッセイ開発・化学・抗体創出)

この項目で確かめること6項目

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終えたときに手元にあるものZ′因子とその内訳を日数・プレートごとに示した評価系の検証記録と、残す基準・外す基準を書いたスクリーニング計画書

なぜ必要か

評価系が当たりと外れを見分けられないまま本番を回すと、偽の当たりを確かめる実験が増え、本物の当たりは見逃されるからです。この先の候補選びは、すべてこの系で拾ったものの中から行います。

見落としやすいこと

  • Z′因子が目安の0.5を超えていても、強い陽性対照だけで出した値なら、スクリーニングで拾いたい弱い当たりを拾える根拠にはなりません。
  • 細胞を使うアッセイでは、生化学のアッセイほど高い Z′が出ないことが多く、同じ線を当てると使える系まで捨てることがあります。
  • Z′は平均と標準偏差から出すため、気泡や分注ミスのウェル1つで大きく下がります。中央値を使うロバスト Z′と並べると、外れ値かアッセイ全体の問題かを切り分けられます。
  • 一次スクリーニングで捨てたクローンや化合物は取り戻せないため、迷うものは理由を添えて次の段階へ渡します。

進め方

  1. 標的の根拠と使える細胞系から、標的ベースか表現型かを決めます。

  2. 陽性・陰性・EC50 付近の対照を置き、複数日・複数プレートで Z′因子を測ります。

  3. Z′が低ければ、外周のウェル、分注の順番、どちらの対照のばらつきが大きいかの順に原因を探します。

  4. 残す基準と外す基準を書いてから本番を回し、プレートごとに対照で Z′を追います。

  5. ヒットを濃度を変えた再試験と別の系で確かめ、結合と細胞での評価に渡します。

判断の分かれ目

こういうときこうする

こういうときZ′が目安を割るプレートが混じるとき

こうする外周を除いて計算し直し、戻るならプレートの扱いを直し、戻らなければ試薬や反応条件を見直します。線を割ったプレートをやり直すかは、本番の前に取り決めます。

こういうとき表現型でヒットを拾ったが、標的同定の手法と担当が決まっていないとき

こうする最適化に進む前に、化学プロテオミクスや CRISPR などで標的を同定する計画・時期・費用を決めます。

こういうとき抗体の上清でシグナルの高いクローンが特定の系統に偏るとき

こうする結合の強さで上から選ぶのをやめ、異なる系統から代表を残します。

自社でできるか、外に出すか

評価系の立ち上げと本番のスクリーニングは、自社でも創薬支援の受託企業でも行えます。外に出すときは、評価系の検証記録を本番の前に受け取ります。

外に出すとき、先に相手に確かめること

  1. Z′因子を何日・何枚のプレートで測り、プレートごとの値と最低値を出せるか
  2. 合格の線をいくつに置き、生化学か細胞かに合った根拠があるか
  3. 偽陽性と多反応性を、どの対照と試験で外すか
  4. 捨てたクローンや化合物の数と理由を記録して渡せるか
  5. 表現型の場合、標的同定をどの手法で、誰が、いつまでに行うか

読んで確かめる5本

まずこれ約5分

Z因子(Z′-factor)とは?0.5を超えれば使えるアッセイと言えるのか

Z′因子は、何万もの化合物を試すHTSの前に、そのアッセイで当たりと外れを見分けられるかを決める数字です。何を見ている数字か、0.5を超えても安心できない3つの理由、値が低いときの原因の探し方、報告書で確かめる点を順に解説します。

約7分

表現型か標的ベースか?創薬スクリーニングの出発点の選び方

創薬スクリーニングの出発点を、表現型と標的ベースで比べます。first-in-class低分子薬で表現型が56%という数字の読み方、標的同定という宿題、イバカフトルやリスジプラムの実例、ヒットを受け取ったときの確認点を解説します。

詳しく分かる項目:出発点(標的ベースか表現型か)・別の系での再現

約5分

抗体の一次スクリーニングとは?結合の強さだけで候補を選ばないのはなぜか

抗体の一次スクリーニングは、数百から数千のクローンから次の精密な評価へ進める候補を残し、あとで困るものを早めに外す作業です。結合だけで選ばない理由、結合・発現量・配列の多様性で残す基準、偽陽性と多反応性の外し方、計画書で確かめる順番を解説します。

約5分

創薬の探索研究とは?ヒットから候補化合物まで、何を基準に絞り込むのか

創薬の探索研究は、スクリーニングで当たった化合物(ヒット)を、効きの強さ・選択性・物性・ADME・安全性を同時に良くして、臨床に進める候補化合物に絞る研究です。ヒットからリード、リード最適化、候補の選定の各段階で何を測るか、効きだけ上げても進めない理由を解説します。

約4分

PAINSフィルターとは?ヒットを捨てる前に確かめる3つのこと

PAINS(多アッセイ干渉化合物)フィルターが偽陽性を見分ける仕組みと、アラートが付いたヒットを捨てずに確かめる手順を解説します。直交アッセイ、機序別の対照実験、構造活性相関の見方と、ヒットリストを受け取ったときの確認点をまとめます。

詳しく分かる項目:見かけの活性を外す(低分子)

このテーマを順に学ぶ

創薬の出発点:標的からヒット化合物まで全14回・約75分

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この項目の記事は第5回「Z因子(Z′-factor)とは?0.5を超えれば使えるアッセイと言えるのか」です。

使える手段


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計算ツールZ因子 (Z')このアッセイで、当たりと外れを見分けられる?